データの世紀を
どのようにして生きていけば いいのでしょうか?

<「自分のデータ」が扱われている認識を持つ>

前回 解説したように
データの提供と利便性の享受は
コインの裏表と言えます

「自分に関するデータは 自分に属するものである」
ということをどこまで主張できるか
そして どこまで放棄できるか

データ社会は
個人にそんな重い問いを投げかけています

現代社会における個人情報の複雑さを示唆する図

利便性を追求しつつ
データ独占にどう歯止めをかけるか

データの世紀の新たな課題です


フェイスブックのデータが
外部のデータ解析会社に不正流出した事件で
その規模が最大8700万人にも上ることが
明らかになっています

それらのデータ解析会社は
複数の米政府機関やロシアの非営利団体と
契約を結んでいることから

個人のデータが
予測されないシチュエーションで
利用されている可能性があります

個人データ流出の流れを説明する図


こうしたことから
フェイスブックのようなプラットフォーマーに
パーソナルデータをどこまで預けてよいかという疑問が
クローズアップされています


インターネット空間の利用の場面だけでなく
日常生活におけるIoTによるデータ収集も
考慮すべき課題になります

AIスピーカーなどは
技術的には何もしなくてもデータを集められます

利用者の気持ちを先回りして買い物などを提案する
夢の機械になる半面

常に誰かに生活を把握される薄気味悪さは残りますし
個人のデータが
知らぬ間に利用されている心配もあります

IoTによるデータ収集を示す図


<自分のデータを勝手に使わせない>

こうしたなかで
ヨーロッパで新たな動きが起こっています

2018年4月にベルリンで
Verimiというデータ連携サービスが始まりました

この運営企業に出資するのは
ドイツ銀行 ダイムラー ルフトハンザといった
ドイツを代表する大手10社で

互いのデータを持ち寄り
消費者の行動を広範囲に分析して
効果的な顧客取り込みにつなげようとしています

このサービスは
個人データを独占してきたグーグルなどへの
対抗勢力として生まれました

ドイツで起こったGAFAへの対抗措置を説明する図

従来のプラットフォーマーと異なりユニークなのは
参加企業が集めたデータをどう使うかを
ユーザーの選択に委ねている点です

ユーザーが同意しない限り
データは広告や外部企業に勝手に使われることは
ありません

アメリカや中国のIT大手企業は
人権を無視して個人情報を集めている

というのがVerimiの主張で
アメリカや中国とは違う形のデータ連携を
進めようとしています


前回ご紹介したように
EUでは2019年に
クッキー法という新たなプライバシー規則を導入しました

豊かさの向こう側にあるリスクに気付いた個人を巻き込んで
データエコノミーのあり方を問いかける
ヨーロッパのスタンスです

クッキー法について説明する図



<ネットサービスの利用規則をきちんと読む>

利便性を取るか 個人のデータを守るか

現れつつある超情報社会 データの世紀を前に
社会も企業も個人も
これまでは考えたこともなかった選択を迫られています

そんな状況下で 個人はこれから
どんなことに気をつければいいのでしょう?

まずは 個人がネットサービスを使いたいばかりに
ネット事業者が個人情報を自由に使うことに
同意してしまうことに
注意すべきだと言われています

GAFAなどのネット事業者は
サービスの利用を開始する前に
利用規約を読んで同意することを求めます

しかし こうした規約は細かい文字で大量に書かれていて
多くの利用者が 事前に内容をきちんと確認せずに
同意します というところを
クリックしてしまうのが現状でしょう

利用規則が記された書類

はい 書き手もお恥ずかしいことに
いつもめくら判を押しています(苦笑)

こうして ほとんど無意識のうちに
自分の個人情報が第三者に提供されることに
同意しているのが現状です

ですから 望ましいのは
規約をよく読み 個人情報の使われ方を把握して
納得した上でサービスを利用することです

個人情報が狙われていることを注意喚起するポスター


自分で自分の個人情報を管理する意識をもつことが大切で
自分の細かなデータを他人に委ねているということを
しっかりと認識する必要があります

ネット空間の利便性を享受するだけでなく
こうした認識をもつことが
データ社会を生きていくうえで欠かせないことのようです

データ社会の模様

うーん 
便利なネット社会を楽しんで生きていくことも
意外に大変なのですね(苦笑)

 

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