新型コロナウイルスには
遺伝子配列が微妙に異なる
A~C型の3つのタイプがあることが
明らかにされています

イギリス ドイツの研究チームが
昨年12月から3月までの間に
世界各地で検出された約160人分のウイルスを
遺伝的ネットワーク手法で分析した結果です


<新型コロナウイルスの3つの型>

@A型

中国雲南省のコウモリから見つかった
コロナウイルスに最も似ており
新型コロナウイルスの基本型とされます

中国南部の広東省の住民だけでなく
日本人や
武漢市滞在歴のあるアメリカ人から見つかるなど
アメリカやオーストラリアなど
東アジア以外でも多く見つかっています

しかし
武漢では少数しか発見されておらず
世界でも少数派です

新型コロナウイルスの3つの型の説明図

@B型

A型から分かれたタイプ
A型と比べて2か所の配列の違いが特徴です

武漢市を含む中国や
その周辺国で多く見つかり
武漢での爆発的感染を引き起こした主要タイプ

東アジアに多く
東アジア人に広がりやすいタイプの
可能性があるそうです

アメリカ カナダ メキシコ ヨーロッパでもみられ

東アジアのウイルスの変異は少なかったけれど
アメリカやヨーロッパのウイルスでは
多くの変異が見られました


@C型

B型に由来するタイプで
B型からの1か所の遺伝子変異が
共通してみられます

フランス イタリア スウェーデンなど
ヨーロッパで主に伝播しており

アメリカ ブラジルでもみられ
シンガポール 香港 台湾 韓国でも
見つかっていますが
中国本土では見つかっていません

新型コロナウイルスの3つの型の世界での分布図

現在 主流なのは
アジアのB型 
欧米のC型
ということになります

アジアでB型 欧米でC型が主流であることを示す図

それらが こんな感じで
それぞれが世界中を行き来しています

世界中での行き来を示す地図



さて 感染者数も死亡者数も
今や欧米が中国を上回りましたが

欧米での大流行を示す図

中国に比べ欧米の方が
死亡者数や死亡率が多いようです

千葉大学からは
人口1億人当たりの死亡者数は
アジアに比べて欧米で多いことが
報告されています

欧米で死者数が多いことを示すグラフ
こうしたことから
B型よりC型の方が毒性が強いのではないかと
一部の研究者たちは推測しています

欧米で死亡率が高いことを示すグラフ


そして 日本でも3月以降の第2波で
欧米からC型が入ってきているようです

C型の中に
紫で示すアジア人が
散見されるのがわかります

C型の中にアジア人が散見されることを示す図

国立感染症研究所は
日本で発症した562人の患者さんの
新型コロナウイルス遺伝子解析を行い

国内で感染が始まった初期には
武漢由来のハプロタイプのウイルスが
多かったけれど

3月以降の感染では
ヨーロッパハプロタイプのウイルスが多いことを
明らかにしています

3月以降はヨーロッパハプロタイプのウイルスが多いことを示す図



このように
日本でもC型が入ってきたので
死亡者数が増えてきたのではないか?
という推測もありますが
はっきりとしたことはわかりません

日本での感染者数 死亡者数の経時的変化を示すグラフ

重症化例 死亡例ではC型が多い
といったデータがでてこないと 
わかりませんね


<変異の頻度と 変異が多い部位>

クラス分けをした研究者たちは
ウイルスは 
変異を繰り返しながら中国から世界に広がり
感染の拡大とともに 
平均15日ごとに変異している
と指摘しています

それぞれの地域や人種の免疫力に合わせて
変異を繰り返しながら
感染している可能性があります


一方 世界レベルで
新型コロナウイルスの変異の検討をして
「ネクストストレイン」という
HPにデータを公開している
計算生物学者の分析によると

新型コロナウイルスの変異ペースは 
年間25回未満で
インフルエンザウイルスの
年間約50回よりも少ないそうです


実際の変異のスピードは どうなのでしょう?
とても気になるところです


で 何回か説明してきましたが
新型コロナウイルスは
表面にスパイクタンパクを持ち

新型コロナウイルスの表面構造
それを使って細胞に吸着 感染していますが

ウイルスの遺伝子の
どの部分に変異が多いか検討すると
スパイクタンパクを作る遺伝子が
高頻度に変異していることがわかりました

スパイクタンパクを作る遺伝子が高頻度に変異していることを示す図

スパイクタンパクは
ワクチンのターゲットになる部位なので
この部位の変異が多いと厄介かもしれません
高橋医院