睡眠時無呼吸症候群
最近 注目されている 睡眠時無呼吸症候群 について解説していきます <どういう病気?> 睡眠時無呼吸症候群は *なんらかの原因で 睡眠中に気道の狭窄が起こる *そのために起こる睡眠中の呼吸努力により 呼吸中枢を介して呼吸性覚醒が生じる *その結果として 睡眠の分断化 睡眠障害が起こり 質の良い睡眠がとれないので 日中の過剰な眠気 集中力の低下が起こる という病気です @睡眠時の無呼吸 低呼吸が原因 *無呼吸 睡眠中に呼吸(口や鼻の空気の流れ)が 10秒以上停止する状態 *低呼吸 もう少しで呼吸が止まりそうな状態です 無呼吸 低呼吸により生じる 上気道の完全閉塞 部分的閉塞が この病気の直接的な原因となります 無呼吸 低呼吸は 1分以上続くこともあります 睡眠1時間あたりの 無呼吸 低呼吸の回数を AHI・無呼吸低呼吸指数と呼び この指数によって重症度を分類します @典型的な症状 睡眠中の無呼吸時に 努力呼吸をともない いびきをかくのが 典型的な症状です 「いびき」と「無呼吸」がポイントで 他の自覚症状は ほとんどありません 無呼吸は *ノンレムの1 2期 レム期に多く生じ *仰臥位で顕著で 多くの場合は 横向きに寝ると減少 消失します @病気の本態 無呼吸で生じる低酸素血症による 呼吸中枢刺激と呼吸の覚醒反応の繰り返しで 睡眠の断片化 質の低下が起こるのが この病気の本態です @生活習慣病などの原因となる 糖尿病 メタボリック症候群 高血圧 心血管疾患 うつ病 などと強い関連性を有しています ですから 生活習慣病の患者さんのなかに 睡眠時無呼吸症候群の患者さんが 診断されずに隠れている可能性があります 睡眠時無呼吸症候群だと気がつかない間に 心血管疾患を発症させて 生命予後を悪化させることが問題です <世界各国の状況> @アメリカ 1993年に行われたWisconsin Cohort Studyでは *AHI・5以上は 男性24% 女性9% *眠気ありは 男性4% 女性2% *治療対象は 男性20% 女性10% と報告され 最新のSHHS調査では *AHI・5以上は 男性57.6% 女子36.1% *男性の有病率は女性の8倍 と発表されました @スイス 2015年に *AHI5以上は 男性83.8% 女性60.8% *AHI10以上は 男性49.7% 女性23.4% と報告されています <日本の状況> @患者数 *成人の2~4% *男性9% 女性2.8% *AHI5以上で眠気ありは 17.6% *AHI10以上は 1.7% (男性3.3% 女性0.5%) と報告され 増加傾向にあります @男性 30~60歳代の男性で急増していて 肥満増加による影響が示唆されています @女性 閉経前女性で 中等度以上の睡眠時無呼吸症候群がある人は BMIが高く 糖尿病有病率が28倍上がることから 閉経前の肥満女性は要注意とされています また 閉経後は患者数が3倍増加し プロゲステロンの呼吸中枢刺激作用の低下 筋力低下 の関与が示唆されています また 更年期障害の症状と似ているので要注意です @65歳以上の高齢者 患者数は64歳以下の2~3倍と増え 重症度も増えます 喉 首周りの筋力の低下 舌根が下がることが影響すると考えられます @隠れ患者 潜在患者数は300万人ほどで 治療対象の85%以上が未診断とされています 治療を受けているのは30万人(10%)にとどまり 氷山の一角に過ぎず 眠気を伴わない隠れ患者が多く存在すると 考えられています @非肥満者 日本人は下顎が小さいので 非肥満でもリスクが多く 日本人患者の3~4割は標準体重です 非肥満の患者さんは 治療で用いるCPAPのコンプライアンスが悪いようです また アジア人は白人より多いと報告されていて 下顎などの顔面の骨格が影響すると推察されています <病型> @中枢型 CSAS 心不全 脳卒中が原因で起こり 心不全の悪化により症状が出てくることが 多く見られます @閉塞型 OSA 気道 喉が閉じてしまうことが原因で 無呼吸 低呼吸が繰り返し起きます 睡眠時無呼吸症候群の90%ほどで 肥満と関係があることが多く 生活習慣病と関連があり 相互に悪影響を及ぼします 肥満 男性 加齢 が3大要因とされます @混合型 中枢型 閉塞型が混合して起こります
高橋医院