新型コロナ・日本に独特なメンタルストレス
日本社会に拡がる 独自のメンタルストレスも問題になっています 日本の社会では 自粛にともなう精神的なストレスが広がりつつあり また 自粛により起こっている経済不況による 自殺者の増加が危惧されています そんななかでも 特に問題とされているのが 差別 偏見 ステイグマや自粛警察といった 日本独特の現象です @差別 偏見 スティグマ 新型コロナウイルスに感染してしまった人やその家族 医療従事者やその家族 配送業者や清掃業者等などのエッセンシャルワーカー などに 差別 偏見であるスティグマが生じがちです ウイルスや感染に対する不安や恐怖は SNSやメディアによる扇動もあり増幅しがちで 増大した不安や恐怖は 特定の対象に対して 嫌悪 差別 偏見等を 生み出してしまいます 人間が持つ哀しい性ですね 新型コロナウイルスは 3つの感染症からなるとされ *不安を第2の感染症 *偏見 差別を第3の感染症 として 注意を喚起しています 特に日本人では その潔癖性や同調性が 不安により強迫的にエスカレートしてしまうためか 他国と比しバッシングや疎外が苛烈となる可能性が 懸念されています こうした「第3の感染症」を回避するためには 正確な情報を選択して 誤解を訂正することが大切です @自粛警察 日本の社会で強く見られる 社会的同調圧力 偏った正義感が 自粛警察のような形で表面化し メンタルヘルスに悪影響を及ぼしています 実際の感染より 差別や偏見の方が メンタルヘルスにとっては脅威だ という意見もあります @在宅勤務でのストレス 前回ご紹介したように 約60%の会社で 仕事上のストレスが増えていると報告されています 在宅勤務により 会社 プライベートの境界線があいまいになったために 新たに生じてきた問題です 自宅で1日中パソコンの前で 終わりのない作業を強いられることで 抑うつ的になってしまいます @家庭内のトラブル 自粛により家族と過ごす時間が増え それがストレスの種となり 家庭内暴力の増加が懸念されています 夫婦間でトラブルが増え コロナ離婚も増えているようです @都市の地方の分断 日本の都市と地方では 医療体制 高齢化率の高さ 社会の寛容性などの 違いが存在します 都市は 人口密度が高く 感染リスクが高い場所も少なくありません 地方では 日本で古くから見られる 目に見えない忌避すべき恐怖を 穢れとして恐れる文化があり それが差別などのマイナス点になるリスクがあります @第2波以降 ストレスにどう対処するか 日本に限ったことではありませんが 感染が長期化する状況では 自粛は唯一の有望な対策ですが 自粛ばかり続けていたら 精神的に持たなくなるかもしれません 過度な精神的抑制は 逸脱行動のリスクを高め アルコールの摂取量増加 乱用 依存 衝動的な暴力 自殺などに結びつくリスクがあります 感染防御と経済活動のバランスを うまくとることが大切でしょうが 経済活動を復活させただけで メンタルストレスが全て改善するとは期待できません 感染防御 経済活動と同じように 社会全体で考えていかないといけない問題だと思います
高橋医院