前回 発せられた問いに答えるために
過去を見直し教訓を得ようと番組は展開します

過去を見直し教訓を得ようというメッセージ


<パンデミックにより 第1次世界大戦後のようになる?>

ファーガソンさんは

パンデミックが
政治的・経済的システムを
どう弱体化させるかを理解するのは難しいが

歴史の因果関係を見逃さないことが大切で
ひとつの大きな事件が
別の大きな事件を引き起こすことが多い

たとえば
第1次世界大戦は
ロシア革命を引き起こし 敗戦国ドイツに打撃を与え
第2次世界大戦へとつながっていった

歴史の流れを説明する図

今回のコロナ・パンデミックは何を引き起こすのだろう?
と問いかけます

ロシア 中国は
パンデミックによる経済的影響で
国内から相当な圧力にさらされているので
地政学的にリスクのある賭けに出る可能性があり
中国による台湾の攻撃
ロシアによる東欧 リトアニアの攻撃
などが考えられる

一方 アメリカは
深刻な政治的分裂 不況に陥っていて
大統領選も控えているので
地政学的危機に対して完全に準備不足になっているので
世界大戦が起こるリスクがある

これが最悪のシナリオだと憂います

香港に関する米中の軋轢を見ると
事態はさらに悪化する可能性が高く
中国が台湾を真剣に取りに行くと なおさら危険な状態になる

危険な状態を危惧するファーガソンさん

パンデミックは
進行中の事態を急加速させるので
米中の冷戦に火をつける可能性がある


<大恐慌後のようになる?>

ヘルマン

1929年の世界恐慌から 
1939年の第2次世界大戦勃発への
歴史的な流れをふり返ります

アメリカで過大な投機がされて 金融危機に陥り
実体経済は大きな苦境に立たされた

生産性の向上を補うほどに 実質賃金がすぐに伸びず
株価と実体経済は乖離していった

多くの科学技術開発が行われ
たくさんの商品が生産されたけれど
実質賃金が停滞したので
1927年には大規模な過剰生産になっていた

そのため 会社のオーナーは工場への投資を止め
その代りに株を買い始めた
実体経済ではもはや生み出せない利益を
投機で得られると期待して株を買った

そして1929年に 全てが崩壊した

崩壊への道筋を示した図

集団心理が 人々を盲目的にひとつの方向に向わせる
思惑 期待が連鎖反応を起こして
実態とかけ離れて株価が上昇していく

株価がいかに不合理に高くても
際限のない投機により さらに上昇していき
やがてそれが弾けて世界恐慌が起こった

この株価崩壊は
3年間続き 90%の富が消失し
アメリカの失業率は25%まで増加したが
その間 銀行が次々に破綻したにも関わらず
政府は介入しなかった

共和党員のフーバー大統領は
生き残れない人は全員滅びるべきだと信じていた

これは 適者が生き残り 他の者は皆滅びるべきという
社会的ダーウイン主義的な思想 考え方で
市場原理への歪んだ理解が生んだ危険な適者生存論である

社会的ダーウイン主義について説明した図

そして1929年以降 非常に多くの過ちが繰り返されてきた

経済が崩壊すると
多くの工場所有者がローンを返済できないので
銀行が破綻したが 政府は助けなかった

銀行が破綻し 預金者たちはお金を失った
アメリカのほぼ全ての預金者が大金を失い
お金が使えなくなり 需要が大幅に下がった

政府は需要を生み出さず 
税収が減ったので予算を削減した

こうして危機はどんどん悪化し 負のスパイラルが起こった

ルーズベルトが大統領になり
ケインズによりニューディール政策が開始されて
やっと方針転換が起きた

ニューディール政策を開始したケインズ

しかし これは赤字支出の始まりでもあり
ルーズベルト政権下で負債が大きく膨らみ
1937年にニューディール政策は中止された

ルーズベルト政権下で負債が大きく膨らんだことを説明する図

そして1938年に2回目の恐慌が起き
ヨーロッパでも赤字支出が行われ始め
ヒトラーが人気者になり
不況は第2次大戦まで続いた

しかし第2次世界大戦は
アメリカにとっては最大の刺激策になった
開戦しなければ不況を抜け出せなかったことも
事実だっただろう

開戦しなければ不況を抜け出せなかったと説明するヘルマンさん

ファーガソンさんも ヘルマンさんも
恐ろしくペシミステイックな歴史の教訓を
思い出されているようです

今回のパンデミックでも
同じようなことが起きてしまうのでしょうか?
高橋医院