実体経済の綻びの実態
コロナ危機下での実体経済は どのような状態にあるのでしょう? <グローバルな鎖のほころび> 今回 初登場の 新興国の経済を研究し 昨年 最年少でノーベル経済学賞を受賞した フランス人の女性経済学者のデュフロさんは 新興国での感染の深刻さは先進国の比ではないと 警鐘を鳴らします アフリカでは ロックダウンをした際に 先進国のように市民を財政的に支援する方法がないので ウイルスが拡散しているなかで経済活動を再開せざるを得ず 流行が継続する そしてアフリカ大陸で広がった感染は 人々の移動によりヨーロッパ全域へと広がる また発展途上国では 感染リスクだけでなく 経済リスクも起こる 経済規模が小さいので 先進国の金融リスクにより押しつぶされてしまう 先進国の経済危機は 新興国の経済危機へと伝播するので 新興国ではウイルスの封じ込めが経済的にできなくなり 感染は先進国の健康危機として戻ってくる このように 全てがつながっている 一方 ヘルマンは ヨーロッパが 豊かな国と貧しい国に分断される脅威があると 警告します ドイツの工場だけが残り 他の国の工場がなくなってしまう それではヨーロッパは生き残れない 人は隣人がお金持ちでないと金持ちにはなれない このことは アダムスミスが18世紀の国富論で述べていたことで 今日でも同じことが言える 全ての国が参加できる 新たな資本主義の模索が必要だと語ります <大国内の混乱と最悪のシナリオ> 一方 アメリカや中国のような大国では 新型コロナにより誘発された経済的問題をきっかけにして 社会問題が噴出して 社会全体が不安定になっています スティグリッツは 今のアメリカでは ひとつの社会として共に生きていくことの大事さが 理解されていないし 共に敬意を払うべきことも忘れられていると嘆きます 森田さんは 日本について ポストコロナの社会が180度変わる可能性は少ないだろう と予測されます なぜなら 日本はコロナの前から 低成長 低インフレ 低金利 の3低状態にあったから そして今は マクロ政策への依存度が非常に強まり 格差増大にともなう ポピュリズムの主張が強まり 人々は短期的な利益を強く求めている そんな窮屈な状況のなかで 株価の高騰は 大衆心理を落ち着かせるための記号になっていると 推察します 居松さんも 株価 為替が安定していると 数字がもたらす幸福感により人は安心するので ポピュリストはそこを狙っている と指摘します 一方で 日本だけでなく 世界でも 消費でなく貯蓄の傾向が顕著になっているので リアルな経済活動の回復はなかなか難しいと 懸念されます ファーガソンさんは パンデミック自体は 歴史的に見てそれほど大きなイベントではないけれど 経済に与える影響 地政学的影響は 甚大なものになるだろう と語り そして再び 激化する米中の緊張関係について 大きな危惧を示されます ナレーターは語ります 最悪のシナリオを回避する回復への道は どこにあるのか? 経済学は 有限の資源に対する無限の欲望を コントロールすることを目標とする科学だけれど この科学は どこまで客観的真理を導き出せるのか? 最悪のシナリオ回避にどう貢献できるのか? と 問いを発します
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