新型コロナワクチン最新情報・いよいよ接種開始?
12月に入り アメリカやイギリスでの 新型コロナウイルスのワクチン接種開始や 日本の国会での予防接種法改正案の可決が報道されて ワクチンへの関心が一気に高まってきました 書き手は正直言って この展開のスピードの速さに驚いています! きちんとした信頼できるワクチンが開発され 接種が開始されるまで 最低1~2年かかると思っていたので びっくりです! 世間では色々なニュースが飛びかっているので ここで整理しておこうと思います WHOによると 新型コロナウイルスのワクチンで 前臨床試験が行われているのは164種類 臨床試験が行われているのは48種類 もあります <先行している3社のワクチン> ファイザー モデルナ アストラゼネカ の3社のワクチンが アメリカ イギリスなどで認可され 12月から接種開始されそうです *ファイザーが ドイツのBioNTechと共同開発したのが BNT162b2
*アメリカのバイオベンチャーのモデルナが 開発したのが mRNA-1273 *アストラゼネカが オックスフォードと共同開発したのが ChAdOx1 nCov-19 ファイザーとモデルナのワクチンは mRNAワクチン アストラゼネカのワクチンは アデノウイルスベクターを用いたワクチンです いずれも 以前からさまざまなウイルスのワクチンに用いられてきた ウイルスそのものを弱毒化や不活化したタイプでなく ウイルスの遺伝子を用いる新たなタイプです <mRNAワクチン> ウイルス表面に存在する抗原タンパク質を作るmRNAを 試験管内で合成して それをワクチンとしてヒトの体に接種します ワクチンが接種された体内では 細胞内でmRNAがウイルスタンパク質を合成して それに対する免疫反応を起こさせます mRNAは もともと分解されやすいので 直径10nmから1000nmの脂質を主成分とする粒子の 脂質ナノ粒子などに封入して接種します また 従来のワクチンでは 免疫反応を高めるためにアジュバントを用いていましたが RNA自体がアジュバントとして 働くので加える必要はありません 鶏卵などでウイルスを増やす手間がないので 素早く製造できるのが大きなメリットです しかし mRNAワクチンは 体内で上手く免疫反応を起こせないものが多く これまでに満足できるワクチン効果を示せたものが ありませんでした ですから 副反応や効果の持続性については不明です <アデノウイルスベクターワクチン> このタイプは ヒトに無害なウイルスをベクター(運び屋)として利用して その中にウイルスの抗原タンパク質を作る遺伝子を入れて ワクチンとして接種します mRNAワクチンと同様に ワクチンを接種された体内では 細胞内でmRNAがウイルスタンパク質を合成して それに対する免疫反応を起こさせます アストラゼネカのワクチンでは チンパンジーの風邪のウイルスであるアデノウイルスを ヒトの体内では増殖できないように弱毒化したChAdOx1を ベクターとして利用しています ヒトのアデノウイルスベクターを利用すると 昔ひいた風邪などが原因で アデノウイルウイルスに対する抗体を持っている人に対しては ワクチン接種効果が下がる可能性が指摘されているため チンパンジー由来のアデノウイルウイルスを使用しています 上述したようにmRNAワクチンは実績がないのに対して アデノウイルスベクターワクチンは エボラウイルスワクチンで実用化されています ということで 今まさに接種が開始されようとしている 新型コロナウイルスのワクチンは こうした新しいタイプのワクチンなのです
高橋医院