ワクチンの開発では
まず 少数の健康な人を対象にした
第1相 第2相の臨床試験を行い

安全性 使用法 使用量
ワクチンで誘導される免疫反応などについて検討します

第1相 第2相の臨床試験について説明した図


今回 有力な候補となっている3種類のワクチンの
第1相 第2相の臨床試験での成績は
どうだったのでしょう?

<ワクチン接種により免疫反応は誘導されている>

いずれのワクチンも接種すると
体内でウイルスに対する免疫反応が誘導されることが
確認されました

但し 小児 妊婦 高齢者のデータは少ないので不明です

@ファイザー

18~55歳の健康成人60人
65~85歳の健康成人45人に対して
21日間隔で2回接種したところ

新型コロナウイルスに対する中和抗体が出現し
接種後28日目まで抗体価が上昇していました

また2回目の接種により
抗体価はより高くなることが明らかになりました

ファイザーのデータ

@モデルナ

18~55歳の健康成人45人に
4週間間隔で2回接種したところ

新型コロナウイルスに対する中和抗体の出現が
確認されました


@アストラゼネカ

18~55歳の健康成人1077人に 
1~2回の接種を行ったところ
中和抗体は 接種後28日目まで上昇し
少なくとも56日目までは持続していました

また2回の接種により抗体価はより高くなりました

さらに新型コロナウイルスに対するT細胞反応も
接種後14日目をピークに上昇することが確認されました

アストラゼネカのデータ

<副反応 安全性>

いずれのワクチンも 従来のワクチンに比べて
接種後の局所部位反応(発赤 腫脹 硬結 疼痛)の発現頻度が高く
全身反応(倦怠感 不快感 筋肉痛 頭痛など)は
数十%以上で発現することが明らかにされました

@局所反応

接種部位の痛みが一番多く 頻度は60~80%
時間経過とともに徐々に改善しますが
約1週間は持続します

局所反応についてまとめた表

@全身反応

疲労感(40%) 不快感(40%)
頭痛(40%) 筋肉痛(30%) 関節痛(20%)などが見られ
やはり時間経過とともに徐々に改善しますが
約1週間は持続します

全身反応についてまとめた表

2回目の接種後の方が
発現頻度 症状の強さが大きくなる傾向がありました


しかし 重篤な有害事象は
いずれのワクチンでも認められませんでした


第1相 第2相の臨床試験の結果についてまとめた表

こうした第1相 第2相の臨床試験の良好な結果を踏まえて
いよいよ その有効性を検討する
多数のヒトを対象にして行なう
第3相臨床試験に進んでいきます
高橋医院