ワクチンに期待される効果には

*発症予防

*重症化予防

*感染予防

の3種類があります

発症を予防できるか 重症化を予防できるかは
第3相臨床試験で明らかにできます

ワクチンに期待される効果と臨床試験の関連についてまとめた図

一方 ワクチンの感染予防効果
どれだけ他人に感染させないかは 
社会全体の集団免疫の形成に関わってきますが

客観的に証明することが難しいうえに
新型コロナウイルスの場合は
そもそも無症状の感染者が多いので
さらに証明が困難になります


@「有効性」について注意すべきこと

ワクチンの効果は
「ワクチンを接種した人が 接種していない人と比べて
 どれくらい発症や重症化を減らせたか」
というふうに表現されます

しかし よく勘違いされることですが
「有効性90%」というのは

「100人にワクチンを接種したら90人に効果があった」
という意味ではなく

「ワクチンを接種せずに発病した人の90%は
 ワクチンを接種していたら発症しなかった」
ということを意味します

誤解されないようにご注意ください


<第3相臨床試験で明らかにされた有効性>

さて 第3相臨床試験では
ワクチン接種群とプラセボ接種群の間で
新型コロナウイルス感染症を発生する人 重症化する人
の割合に差があるかどうか検証します

万単位の多数の人での検討が必要なため
アメリカ ブラジルなど
比較的感染者が多い国で行われました

@ファイザー

11/9に
アメリカ アルゼンチン ブラジル ドイツなどの
120の医療機関で行われた
43000人を対象にした試験の結果が発表され
発症予防効果は90%以上でした

発症予防効果は90%以上であることを伝えるニュース

ワクチンまたはプラセボ接種後に
94人が新型コロナウイルスに感染 発症しましたが
そのうちの85人はプラセボを接種した人で
ワクチンを接種して発症したのは9人だけでした

11/18にデータが更新され
発症者は170人に増えましたが
そのうち
ワクチン接種者は8人で 重症者は1人
プラセボ接種者は162人で 重症者は9人で
発症予防効果は95%になりました

発症予防効果は95%に増加したことを伝えるニュース

また 65歳以上の高齢者の発症予防効果は94%でした

65歳以上の高齢者の発症予防効果は94%であることを伝えるニュース


@モデルナ

11/16に発表された30000人を対象にした試験の結果
発症予防効果は94.5%でした

発症予防効果は94.5%であることを伝えるニュース

95人が新型コロナウイルスに感染し
そのうちの90人はプラセボ接種者でした

データを詳解した図表

また 11人の重症化例は全例がプラセボ接種者で
ワクチン接種者は 発症してもひとりも重症化せず
重症化予防効果も認められました


@アストラゼネカ

11/23に90%の発症予防効果が発表されましたが
わずか3000人の低用量投与群のみの成績でした

その後 データが訂正され
初回に半量投与して 2回目に全量投与した場合は90%
2回とも全量投与した場合は62%
と報告し直されました

アストラゼネカのデータを詳解した図表

どうも釈然としないところが残りますが
興味深いのは 低用量の方が効果が高かった事実で
現在 イギリス ブラジル 南アフリカで
2万4000人以上が参加して進行中の試験では
低用量投与のみを検証しているようです

また 発症予防効果だけでなく 
感染予防効果もあると報告されています


<予想以上の好成績>

これらの第3相臨床試験の結果は
世界中の人々や研究者を驚かせました!

アメリカのワクチン承認機関のFDAは
発症予防効果50%以上を承認の基準にしていましたが
これを大きく上回る成績が示されたからです

各社のデータをまとめて示した図

ちなみに
インフルエンザワクチンの発症予防効果は
30~50%に過ぎません

インフルエンザワクチンと新型コロナウイルスのワクチンの発症予防効果の比較を示した図

書き手もびっくりしました

だって
今まで一度も上手くいったことがなかったmRNAワクチン
異なる会社のワクチン全てで
90%を超える発症予防効果を示したのです

再度 本当にびっくりしました!
高橋医院