今日は集団免疫の説明をします
＜イギリスの失敗＞
ご自身も新型コロナウイルスに感染され
一時は集中治療室にも入られた
イギリスのジョンソン首相は
イギリスで
新型コロナウイルス感染が
始まったばかりの3月初めに
特別に外出規制もせず
成り行きに任せようとしました
じっと耐えて
感染症の自然の成り行きに任せて
社会全体に
ウイルスに対する免疫を持つ人を増やして
感染を抑えようと試みる
これが
集団免疫の成立により
感染を制御しようとするスタンスです
集団免疫の概念を知らなかった書き手は
ジョンソンさんのこの方針を聞いて
かなりびっくりしました（苦笑）
しかし この方針では
何十万もの死者が出ることがわかり
強い批判を受けて
あわてて行動制限に
方針を切り替えざるを得ませんでした
やはりこのウイルスに感染した保健相は
方針変換後に
集団免疫は
目標や政策でなく あくまで科学的概念である
と言い訳（？）したようです
＜感染を制御する3つの方法＞
一般的に
ウイルスのアウトブレイクを制御する方法は
＠人々の行動制限を厳しく行う
＠ワクチン 治療薬を開発する
＠集団免疫の成立を待つ
の3つがあるそうです
今 日本を始め世界各国は
厳しい行動制限により
なんとか感染スピードを遅らせようとしています
＜集団免疫とは＞
集団免疫
書き手は 今回の新型コロナウイルスで
初めてこの術語を知り勉強しました！
勉強の成果を
披露させてください！（笑）
新たなウイルス感染症がアウトブレイクしたとき
社会全体で 十分な割合の人が感染して
多くの人がそのウイルスに対する抗体を持てば
集団として免疫ができた状態になります
そうすると
ウイルスは新たな宿主を見つけるのが困難になり
連続した感染の維持ができなくなるので
感染の連鎖が断ち切られ 感染拡大は自然に止まり
やがて感染は収束する
これが集団免疫です
集団免疫ができた集団では
免疫を持たない人が一定数いても
彼等が社会の中で感染者と接触する頻度は低くなり
そうした間接的な保護効果により
感染から守ることができるようになります
だから 集団免疫の成立すれば
社会全体で
新たなウイルス感染を制御できる
ワクチン・予防接種は
集団免疫を形成するために
大いに役に立ちます
ワクチン・予防接種で
社会に抗体を持つ人が増えれば
集団免疫の形成が誘導されるからです
一方 集団免疫は
ウイルスの突然変異を
誘導するリスクがあります
集団免疫の成立により
感染機会を失ったウイルスは
突然変異を起こして集団免疫を回避して
再び感染を拡大できるようになる
こうしたウイルスの進化・突然変異は
集団免疫が有する大きな課題です
＜どれだけの人が感染すれば 集団免疫が成立するか？＞
集団の中での免疫を持つ人の割合が
一定のレベルを超えないと
集団免疫は成立しません
この一定のレベルはどれくらいか
計算式で算出できます
免疫を持つ人の割合が
集団免疫レベル（HIL）と呼ばれる閾値に達すると
ウイルスの感染速度は減少し
やがて蔓延は収束します
この閾値は
基本再生産数 R0 を用いて
次の式から計算できます
Pc ＝ 1 － 1/R0
Pc ： 集団免疫レベル 免疫を持つ人の割合
R0 ： 基本再生産数 感染性の指標
基本再生産数は
ウイルスの伝染能力で
1人の感染者が感染させる人数です
これが多ければ 感染能力は高く
少なければ 感染能力は低い
1未満になれば 感染は収束します
で 基本再生産数が
低い場合は 集団免疫レベル
つまり 集団免疫成立に必要とされる
免疫を持つ人の割合は低く
高い場合は 高い
ウイルスの感染力が強ければ強いほど
集団免疫成立に必要な
免疫を持つ人＝感染した人の割合が増える
たとえば
基本再生産数が12と
強い感染力を持つ麻疹・はしかは
全体の90％が感染しないと
集団免疫は成立しない
基本再生産数が3なら
集団免疫が成立するためには
社会の66％ほどが
免疫を獲得する必要があります
なんとなく イメージできましたか？
＜新型コロナウイルスの集団免疫＞
新型コロナウイルスの基本再生産数は1～3と
インフルエンザウイルスと
ほぼ同等と推測されています
3月中旬の時点で
推定されていた基本再生産数は
国によりかなりバラツキがあり
スペインでは5.17と高かったので
集団免疫成立のためには
全体の80％の人が感染する必要があり
日本では1.49と
低く見積もられていたので
32.9％が感染すれば
集団免疫が成立する計算になりますが
今は状況が変わり
基本再生産数も変化していると思います
世界全体でみると
新型コロナウイルスの
集団免疫の成立に必要な感染者数の割合は
70～80％という推測もあります
