今 世間では

できるだけ外出を控えて
家のなかに閉じこもり
人との接触機会を減らして自粛しましょう

と言われていますが

外出自粛を訴えるポスター


では いったい いつまで
自粛を続ければいいのでしょう?


<なぜ 自粛しないといけないの?>

@ウイルス感染スピードを遅らせることができる

自粛すれば
ウイルス感染スピードを遅らせ
患者さんの増加スピードを
抑えることができます

自粛により患者さんの増加スピードを抑えられることを示す図

*ウイルス感染した人を隔離して治療し

隔離の有効性を示す図

*ソーシャルデイスタンスをとり

ソーシャルデイスタンスの説明図

*人との接触を80%減らす

人との接触を80%減らすことの有用性を示す図

こうやって自粛すれば
ウイルスが
人から人に感染する機会が減りますから
感染スピードが遅くなります

時間を稼いでいる間に
医療体制を整備できますし
新たな薬やワクチンを開発できます


@ウイルスに選択圧をかけられる

ウイルスの感染スピードを遅くすると
往々にしてウイルスは弱毒化します

感染力 致死性が強力なウイルスは
すぐに感染して 
すぐに感染した人を殺してしまう
せっかちなウイルスです

ですから 
感染機会を減らして 感染スピードを遅くすると
せっかちウイルスは
次のヒトに感染するチャンスを失うようになり
次第に衰えていきます

そうして 
感染力も致死力もあまり強くない弱いウイルスが
生き残るようになると推察されます

このように 感染スピードの抑制により
強いウイルスを減らし
弱いウイルスだけ生き延びさせることができる

これが ウイルスへの選択圧です


<自粛すると集団免疫の成立は遅れる>

しかし 
こうした自粛時間が長引いたり
頻繁に繰り返されたりすると

皮肉なことに
ウイルスの感染拡大ペースが遅くなり
集団免疫の形成までに 
時間がかかるようになります

つまり 
自粛により
集団免疫の成立による感染収束までの時間は
むしろ延長してしまう

自粛により集団免疫成立までの時間が延長することを示す図

そして 
将来的に 自粛を何回か断続的に
続けざるを得なくなる可能性があるので
そうなると
収束までに年単位が必要となる可能性があります


<いつまで自粛が必要?>

ハーバードの公衆衛生から
4月14日のサイエンスに投稿された論文によると

断続的な外出規制を行うと
集団免疫の成立により
感染制御のめぼしがつくのは
2022年とされています

サイエンスに掲載された論文

外出規制を1度だけで解除すれば
すぐに感染の第2波が来てしまうリスクが高い

制圧に成功したように見えても
2024年までは再び感染が広まる可能性があり
継続した監視が必要になります

長期戦になるかもしれません

もちろん 
新たな治療法 ワクチンが開発されれば
厳しい状況は改善できます


イギリスからの報告では

外出規制の緩和の解除が早すぎれば
感染が再流行する恐れがあり

ワクチンが開発されるか
集団免疫が成立するまでは
継続して自粛対策を続ける必要がある

厳しい対策を3カ月間続ければ
いったん流行は収まるが
解除すると 
1カ月ほどで再び感染者数が増える

解除すると再流行することを示す図

だから 
厳しい対策を1カ月間実施し 
半月くらい緩和する

そうしたことを
繰り返して続けざるを得ないかもしれない

やはり 厳しい予測です


アメリカのCDCは
段階的に外出規制を緩和できる条件として

*14日間連続で感染者数が下がる

*地域の医療機関が
 入院すべき患者を受け入れられる

*症状のある患者が検査を受けられ
 感染が発生した場合の
 接触者追跡ができる態勢がある

の3つをあげています

14日連続か、、

そして その間に
しっかりとした検査体制 入院治療体制を
確立しないといけません

CDCは
再び追跡不可能な感染が起きた場合は
再度の外出規制を
速やかに始動すべきである
と警告して

いつ外出規制が終わるかを予測するのでなく
今 何をしなければならないかを考えないといけない
とレポートを締めくくっていました

うーん 厳しいなあ
でも 頑張るしかないのかな

読み手の皆さんも 頑張りましょう!
高橋医院