DNAワクチン・RNAワクチン
最近 注目されているのが DNAワクチン RNAワクチンです <DNAワクチン RNAワクチン> 従来のワクチンのように 病原体そのものや タンパク質などの病原体の一部を用いるのでなく 病原体の遺伝子の一部を ワクチンとして接種する 新しく開発された方法です @DNAワクチン まず 病原体の構成成分の中で 特に免疫反応を強く起こさせるタンパクを見つけて そのタンパクを作るDNAを同定します そのDNAを プラスミドベクターという遺伝子の運び屋に組み込み DNAを大量に作らせてから 筋肉内注射します こうして 体内に送りこんだDNAに 免疫反応を強く起こさせるタンパク質を作らせて 体内で病原体に対する免疫反応を起こさせる という方法です DNAの構造そのものが 自然免疫系を活性化することで ワクチンの内因性アジュバントとして 作用していることも 明らかにされています この方法は 開発に要する時間が3週間程度で 従来の方法に比べてとても短くてすみ さらに 速く 安く 大量に作れ 感染性の危険はない ことが利点です しかし 動物実験ではうまくいっていても 実際に人に用いると 充分な免疫反応を 誘導できないことが少なくないことが 大きな問題となっています 体内に送りこんだDNAから作られる 免疫反応を起こさせるタンパク質の量が 充分でない 送りこんだDNAが細胞内に十分に入らない といったことが原因と考えられています そのため DNAと一緒に 免疫反応を強化するサイトカインなどの 様々な物質のDNAも組み込んだ ワクチンが開発されています @RNAワクチン DNAワクチンとメカニズムは同じですが DNAワクチンが有する 投与された人の細胞のゲノムに 病原体遺伝子の一部が組み込まれる危険性が ありません 何種類かの候補RNAを混ぜて使うことで どれがより強い免疫を起こすか 検討することもできます 但し DNAワクチンと同様に RNAからタンパク質が翻訳される効率が 良くないことがあり 十分な免疫反応を起こせないことが 少なくありません @DNAワクチン RNAワクチンの効果 これまで得られている結果は 残念ながら 当初期待されたほど素晴らしいものではなく ヒトで使用できるワクチンは いまだひとつもないのが現状です なおDNAワクチンは 高血圧などの生活習慣病 アレルギーなどの 感染症以外の疾患の治療を目的とした臨床研究も 盛んに実施されています
DNA RNAを 直接ワクチンとして接種しないけれど ベクターに挿入して ワクチンとして投与する方法もあります <ウイルスベクターを用いたワクチン> 弱毒性のウイルスをベクターにし用いて そこに病原体の抗原候補の遺伝子を挿入して投与して 体内で抗原を発現させて その抗原に対する免疫反応を惹起することを 狙うワクチンです ウイルスベクターを用いることで 抗原提示細胞の樹状細胞などに 効率的に 病原体の抗原候補遺伝子を導入したり 抗原候補タンパクを発現させたりできるのが この方法のポイントです ウイルスベクターに用いられる ウイルスの種類には アデノウイルス レトロウイルス レンチウイルス などがあります
高橋医院