トスカーナ キャンテイ
日本でワイン文化が流行し始めた頃 イタリアワインの代名詞といえば トスカーナ地方のキャンテイでした <トスカーナのワイン> イタリアワインの銘醸地であるトスカーナ地方は イタリア半島の中央に位置し 北と東に広がるアペニン山脈と 西に広がるティレニア海の間にいくつもの谷があり 丘陵地帯は州の約66%にも上ります
内陸部は夏が暑くて冬は非常に寒く 温暖な海岸部は雨が少ない地中海性気候となっています 赤ワインの生産量が89%と多く 高品質なD.O.P.ワインが生産量の64%を占めています <サンジョヴェーゼ> その高品質な赤ワインのほとんどが サンジョヴェーゼという赤ブドウ品種を 主体に造られています サンジョヴェーゼは イタリア中部地方を原産とする赤ブドウ品種です 突然変異を起こしやすいブドウで 非常に多くのクローンが存在し 大きく分けて サンジョヴェーゼ・グロッソと サンジョヴェーゼ・ピッコロに分類されます サンジョヴェーゼ・グロッソは 粒が大きくきく果皮が厚いブドウで サンジョヴェーゼ・ピッコロは 粒の小さなブドウです 成熟が遅いため 暑い年には 濃厚でアルコール分が高く長期熟成に耐えうるワインになり 冷涼な年には 酸とタンニンが強くなる傾向があります イタリアはブドウの栽培方法も多様で それぞれの地方が独自の栽培文化を持つため 同じサンジョヴェーゼを使ったワインでも スタイルや味は産地によって異なります 例えば サンジョヴェーゼ・ピッコロから造られる手頃な価格のキャンティは 色合いも明るいルビー色で スミレの花やチェリーのフレッシュな香りがし 果実味と酸味が豊富なワインとなります 一方 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのように 黒みがかった濃い赤色でプラムのような香りがし 重厚でタンニンが豊富なワインも生まれます また 新しいスタイルを標榜するスーパータスカンの生産者は サンジョヴェーゼとフランス系の品種をブレンドし より濃厚で凝縮感のある 現代的嗜好に合ったワインに仕上げ 一大旋風を巻き起こしました <キャンティ> キャンティは サンジョヴェーゼをベースにして カナイオーロ トレッビアーノ・トスカーノなどをブレンドして造られる イタリアで最も有名なワインです チェリーやスミレといった軽快でキュートな風味が特徴的で 親しみやすくフレンドリーなワインとして 世界中で愛されています その生産地域は トスカーナ州内陸部の複数の県に及び 非常に広範囲にわたります そのため 同じキャンティでも 生産者によってスタイルが随分異なります キアンティ造りに認められるブドウ品種の増加や 醸造方法の違いによる味わいの違いなど多様性が多く 価格面でも1 0 0 0円ほどから1 0 0 0 0円を超えるものまで 非常にバリエーション豊かな品揃えになっています また フィレンツェとシエナの間に広がる丘陵地帯は キャンティ地方と呼ばれ この地で造られるキャンティは 独自のD.O.C.G.キャンティ・クラシコを名乗り 優れた生産者が多くいます サンジョヴェーゼが8 0~1 0 0%で 推奨・許可品種の黒ブドウは 2 0%まで使用することができます キアンティ・クラシコのボトルに巻かれている包装に 「黒い雄鶏(ガッロ・ネッロ)」のマークが付いており これは現在キアンティ・クラシコ協会の商標になっており 全てのキアンティ・クラシコに表示されています 現在はあまり見かけませんが 昔 輸入されていたキアンティは 丸い瓶に藁を編んだ「フィアスコ(藁苞)」 と呼ばれる容器に入っていました 国内外への運搬時に割れにくくするために 麦藁やトウモロコシの皮でボトルを巻いていたのです 今となっては 懐かしいです
さてトスカーナと言えば 花の都 フィレンツェ 独身でヨーロッパを貧乏旅行していた時 背伸びして入ったフィレンツェのレストランテで 注文した名物のTボーンステーキのあまりの大きさに驚き 必死にむしゃぶりりついたのを覚えています 本当に美味しかったなあ あの時 どんなワインを飲んだか覚えていませんが 麦藁のキャンテイだったのかな?(笑)
高橋医院