フリウリ ヴェネト
イタリアワインの解説も いよいよ最後になりました <フリウリ> フリウリはイタリアの北東部に位置し 東はスロヴェニア 北はオーストリアの国境と接し すぐ西隣にはヴェネト州があります 1970年代に先見の明があった生産者たちが 他の地域よりも早く この地でクリーンでフレッシュな白ワインの生産を始めたことから フリウリは次第に 白ワインの聖地として名を挙げていくことになります その後 品質が向上していき 特にコッリオ・ゴリツィアーニ/コッリオと フリウリ・コッリ・オリエンテーリは イタリアを代表する高級白ワイン産地として 高い評価を得ています フリウリでは 生産量の約77%が白ワインです 白ブドウでは フリウラーノがフリウリを代表する品種です まろやかで上品な味わいの中に ビターアーモンドを感じさせる苦味が特徴的です 他にも 軽快さと繊細さを兼ね揃えたリボッラ・ジャッラ 甘口ワインを生み出すピコリット 国際品種のシャルドネやピノ・グリージョなどが人気を博しています <ヴェネト> イタリアの北東部に位置しているヴェネト州 州都であるベネチアは「水の都」と呼ばれ 人気の観光地のひとつです また プロセッコ ソアヴェ アマローネなど 世界的によく知られたワインの生産地としても有名です ヴェネト州の主なブドウ生産地は 西部のヴェローナ県 中部のヴィンチェンツァ県とパドヴァ県 東部のトレヴィーゾ県です 各地では 白ワインの「ソアヴェ」 赤ワインの「アマローネ」 スパークリングワインの「プロセッコ」 が造られています @ソアヴェ ヴェローナ県 ヴェネト州の西部にある ソアヴェ村周辺では イタリア語で「心地良い」を意味する名前の通り 爽やかなソアヴェが生産されています 海に面していること イタリア最大の湖ガルダ湖があることから ヴェネト州は水が豊富です また火山性土壌に石灰質土壌が混合しており 爽やかな酸味 味わいの中に ミネラル感や複雑性があります ソアヴェの主要品種は この地に固有の白ブドウ品種であるガルガーネガで ガルガーネガを70%以上にし トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェ ピノ・ビアンコやシャルドネなどを 30%までブレンドして造られています 緑がかった麦わら色で フレッシュな柑橘系果実の華やかで 品がある香りとミネラル感を楽しめる白ワインで 後味のほのかな苦味は全体にコクを与えてくれます 清涼感のある酸味とミネラル感 心地良い苦味は フードフレンドリーなワインとして料理に寄り添います ソアヴェの辛口でさっぱりとした味わいや手頃な価格は 世界中で愛され続けています 書き手は フリウリの白もソアヴェも大好きです! @アマローネ ヴェローナ県の北方に位置する ヴァルポリチェッラ地区では 世界的にも人気のあるアマローネが 生産されています 通常のワインは 収穫したブドウをそのまま破砕し発酵させますが アマローネは収穫したブドウを 3〜4ヶ月間陰干し(アパッシメント) 干しブドウにしてから発酵させます この過程によりブドウの水分が約40%失われ エキス分の凝縮した果汁から 濃厚で甘美なアマローネが造られます その後2年以上の樽で熟成させ 更に6ヶ月以上の瓶内熟成を経ます 一般的にアパッシメントは 甘口ワインを造る際に行われる手法で 実際にアマローネの産地ヴァルポリチェッラには レチョートという甘口ワインも存在します また この際に傷ついたブドウや腐敗したブドウがあると 他のブドウにも悪影響を及ぼすため ブドウの収穫は全て手摘みで行われ慎重に選別されています アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラD.O.C.G.は イタリアでも最高峰といわれる ワインの1本となっています アマローネが造られるヴァルポリチェッラの畑は 北イタリア・ヴェネト州にある ロミオとジュリエットの舞台として有名な町ヴェローナの近郊に 約8,000ha広がっています 余談ですが ヴェローナはこじんまりとした素敵な古都で 毎年夏は 円形競技場・アレーナで 野外オペラが開催され 世界の名高いオペラ歌手たちが共演します さて アマローネには コルヴィーナ・ヴェロネーゼ コルヴィオーネ ロンディネッラ の3種の固有品種と のその他品種の使用が25%まで認められています
典型的なアマローネは チョコレート シナモン チェリーのリキュール レーズンといった 甘美で魅惑的なアロマが特徴です 味わいは凝縮していて フルボディでコクがあり 濃厚な果実味とブドウ元来の高い酸味が バランスを保っています アパッシメントによりブドウの糖度も上昇するため 一般的には15~15.5%前後のアルコール度数で 中には17%を超えるアルコール度数のワインも存在しますが その他のエキス分も濃縮しているため あまりそれを感じさせません この凝縮感ゆえに アマローネの熟成ポテンシャルは高く 20年の熟成も容易といわれています 20~30年経たアマローネの熟成感は ほかのワインでは味わえない素晴らしいものになります イタリアでは アマローネは「思索の酒」と呼ばれており 特別な時や大切な人と飲むワインとされています ちなみに書き手は 2年に1回くらいアマローネを飲みたくなりますが 別に思索したくなる訳ではありません(笑)
高橋医院