独特の基準を持つドイツワインの等級 格付け
ドイツワインのランク分け 等級は 他国のそれとは異なる独特な基準を持っています <原産地によるランク分け> ドイツワインの原産地によるランクは 高い順に @最上級ワイン Q.m.P. 生産地が1区画に限定された「肩書付き」上質ワインで 最も厳しい公的検査が課せられる 収穫の時点において 特に高い糖度を持つブドウから造られる @上質ワイン Q.b.A 13の指定地域のみで造られた 公的検査に合格したワイン @地酒 19の指定地域で造られる その地域の特色があるワイン @テーブルワイン ドイツ国内で生産されたブドウで造る 日常消費用の”家飲み”ワイン となっています フランス イタリアなどの原産地制度とは異なり 土地や生産者に格付けはなく 良いぶどうは土地に関係なく評価される平等主義 が基になっています <ブドウの果汁の糖度に基づく等級> ドイツは原産地制度とは別の 「ブドウの果汁糖度に基づく独自の等級制度」 を確立していて 収穫時のぶどうの糖度 収穫方法によって 6種類に分けられます 上記の原産地によるランク分けで 「最上級ワイン Q.m.P.」に分類されたワインに この「果汁の糖度に基づく等級」が適応されるのです この等級付けを「プレディカート」と呼び 「肩書き」をつけるという意味を持っています 但し あくまで「ぶどうそのものの糖度」であって 「ワインの糖度(甘味)」とは別で ワインは 造り方によって辛口にも甘口にもなりえます @カビネット Kabinett 成熟したぶどうから造られた良質のワインで プレディカーツヴァインのなかで 最も生産量が多く ドイツワインを代表する格付けワインといわれています カビネットとは 「囲っておく・貯蔵しておく」という意味で 18世紀にエーバーバッハ修道院の密室に貯えられた最上質のワインから 由来した名将です @シュペートレーゼ Spätlese シュペートレーゼとは「遅摘み」という意味で 通常の収穫期より遅らせて完熟させたぶどう を使用します 摘み取りの時期を遅らせることは 天候の悪化や野鳥の襲来などのリスクが増しますが 糖度が上がりぶどうの成分が凝縮するため より高級なワインを造る事ができます この手法は1775年にヨハニスベルクで発見されました @アウスレーゼ Auslese 収穫時にぶどうの房を選んで摘み取りを行い 房選りの甘口ワインが造られます その際 完熟していないぶどうの粒は取り除かれ シュペートレーゼより甘さと香りが更に凝縮されます アウスレーゼは1787年に シュペートレーゼと同じくヨハニスベルクで発見されました @ベーレンアウスレーゼ Beerenauslese 粒選りの極甘口ワイン 貴腐菌のついたぶどう粒や 過熟したぶどう粒を より選って摘み取ります フルーティで味わい豊かな 極甘口ワインに仕上がりますが 手間やリスクも大きく 高価なワインです
@アイスワイン Eiswein 天然状態で凍ったぶどうから造られたワインです 早くて11月 通常は12月から翌年の1月まで 摘み取り時期を遅らせ 厳しい寒さでぶどうが木についたまま氷結するのを待ち 氷結すれば すぐさま-7度以下の朝まだ暗いうちに摘み取り 凍ったままの状態でプレスします
こうして造られたワインは 天然に濃縮された極上の甘口ワインになりますが 毎年造る事は困難なため希少性が高く高価になります @トロッケンベーレンアウスレーゼ Trockenbeerenauslese 世界3大貴腐ワインの一つです 限られた良い気象条件の下で ぶどうに貴腐菌(ボトリティス・シネレア)がつき 水分が蒸発して干しぶどうのようになった粒を 選りすぐって収穫します こうしてできたワインは 琥珀色の芳醇な極甘口ワインとなります しかし この様な自然条件が毎年整うわけではないので まれにしか収穫する事が出来ません そのため希少性が高く高価ですが 大変寿命が長いワインです これまで説明してきたように 赤ワインや辛口ワインの台頭など ドイツのワイン事情もかなり変化してきましたが 依然として「糖度 甘さ」が大きな評価基準に関わることは 昔からドイツ独特で 一貫して変化がないようです 面白いですね(笑) ちなみに そんなドイツワインを購入する際に 甘口を避けて辛口を選ぶためには 「辛口」=「トロッケン・Trocken」 という言葉を覚えておくと便利で 赤ワインにも 白ワインにも スパークリングワインにも ボトルのラベルに表示されています
高橋医院