PBCの検査 診断
PBCの検査 診断について解説します <検査> @血液検査 胆管の障害を反映して ALP γ-GTP などの胆道系酵素が高値を示します 抗ミトコンドリア抗体・AMA陽性は特徴的ですが その数値(抗体価)は 病気の進行の指標にはならないので 高くても心配する必要はありません IgMという免疫グロブリンが高値となるのも特徴的ですが 正常な場合もあります @肝生検 血液検査で慢性の胆汁うっ滞所見があり AMAが陽性という典型的な所見が揃っていて 他の疾患の鑑別がなされていれば 診断のための肝生検は 必ずしも必要としません <診断基準> @自覚症状 皮膚掻痒感で初発することが多い 黄疸は出現後 消退することなく漸増することが多く 食道静脈瘤などの門脈圧亢進症状が高頻度に出現する 症候性PBCと無症候性PBCに分類され 皮膚掻痒感 黄疸 食道胃静脈瘤 腹水 肝性脳症など 肝障害に基づく自他覚症状を有する場合は症候性PBCと呼ぶ 無症候性PBCは 無症候のまま数年以上経過する場合がある @血液・生化学検査所見 症候性 無症候性を問わず 血清中の胆道系酵素(ALP γGTP)値の上昇を認め 抗ミトコンドリア抗体(AMA)が90%以上で陽性である IgM値 総コレステロール値の上昇も認める @組織学的所見 中等大小葉間胆管ないし隔壁胆管に 慢性非化膿性破壊性胆管炎(CNSDC)あるいは胆管消失を認める @合併症 高脂血症が持続する場合に皮膚黄色腫を伴う シェーグレン症候群 関節リウマチ 慢性甲状腺炎などの 自己免疫性疾患を合併することがある @診断 次のいずれか1つに該当するものをPBCと診断する *組織学的にCNSDCを認め 検査所見がPBCとして矛盾しないもの *AMAが陽性で 組織学的にはCNSDCの所見を認めないが PBCに矛盾しない組織像を示すもの *組織学的検索は未施行だが AMAが陽性で 臨床像(自覚症状 血液・生化学検査所見 合併症を総合したもの) 及び経過からPBCと考えられるもの <鑑別診断> 臨床経過 血液検査 画像診断により 肝炎ウイルスの関与 薬物性肝障害 閉塞性黄疸を 除外する必要があります 特に 悪性疾患や胆石症による 胆汁うっ滞 閉塞性黄疸を慎重に除外することが大切で そのために画像診断(超音波 CT)を行います 胆汁うっ滞を示す肝疾患である 慢性薬物性肝内胆汁うっ滞 原発性硬化性胆管炎 IgG4関連硬化性胆管炎 を否定します <臨床病期> @無症候性PBC(aPBC) 肝障害にともなう自他覚症状がない場合です @症候性PBC(sPBC) 肝障害に基づく自他覚症候の 黄疸 皮膚掻痒感 食道胃静脈瘤 腹水 肝性脳症などを有する場合で *s1PBC:総ビリルビン値2.0mg/dL未満のもの *s2PBC:総ビリルビン値2.0mg/dL以上のもの に分けられます 症候性PBCは 無症候性PBCに比べて予後が不良です
高橋医院