赤い筋肉 白い筋肉
骨格筋の量や力が減って サルコペニアになると 高齢者の生活の質の低下を招いてしまい 中年の方でも 運動不足により筋肉量が減って脂肪が増えると サルコペニア肥満になり 生活習慣病になるリスクが高まることを ご紹介してきましたが おりしも巷では 去年からのラグビーブームで 筋骨隆々のマッチョ系の人気が 高まっているようですが 注目を浴びている骨格筋は 単に運動に関与するだけでなく エネルギー代謝 糖取り込みなどの さまざまな現象に深く関与していることが 最近明らかになりつつあり 非常に注目されています そこで今日は 骨格筋の素顔についてご紹介します <赤筋と白筋> 骨格筋は人体で最大の器官で 体重の40%を占めていて 遅筋(赤筋)と速筋(白筋) の2種類があります *遅筋(赤筋)は 遠洋を泳いでいるマグロ・カツオ型 *速筋(白筋)は 近海に棲息するヒラメ・タイ型 といった比喩が よく用いられます マグロやカツオは 赤身で ゆうゆうと遠距離を泳ぐ タイやヒラメは 白身で 近距離をせわしなく泳ぐ そんなイメージをしていただければ それぞれの筋肉の性質を うまく理解できると思います <遅筋(赤筋)> 収縮速度が遅いが 長い間収縮し続けることができ 持久的な運動でも疲労しにくい *ミオグロビンが多いので 酸素を豊富に有している (だから赤く見えます) *ミトコンドリアの 密度と活性が高い *ミトコンドリアで 酸素を使いエネルギー(ATP)を大量に産生し 積極的に糖や脂質の代謝が行われる といった特徴を有しています ですから マラソンやスキーの距離競技などの持久的な運動で よく使われます 遅筋(赤筋)が多く含まれる ヒトの代表的な骨格筋は ふくらはぎのひらめ筋です <速筋(白筋)> 収縮速度が速く 収縮力が強いが 疲れやすい *ミトコンドリアの 密度や活性が低い *ミトコンドリアでの 酸素を使ったエネルギー産生能が低い *糖や脂質の代謝への関与は 細胞質での無酸素的な解糖が中心 といった特徴を有していて 短距離走のような 瞬発的な収縮を要する運動に向いています 速筋(白筋)が多く含まれる ヒトの代表的な骨格筋は足底筋です <ひとつの骨格筋のなかに 赤筋 白筋がモザイク状に混在している> 勘違いしやすいので注意が必要な点は 骨格筋は 遅筋(赤筋)と速筋(白筋)の どちらかだけで出来ているのではなく 遅筋(赤筋)と速筋(白筋)の線維の両方が ひとつの骨格筋のなかに モザイク状に分布しているということです ひらめ筋は遅筋(赤筋)の割合が多く 足底筋は速筋(白筋)の割合が多い そして 運動トレーニングなどの刺激によって 筋線維の組成は変化し 瞬発的なトレーニングをすると速筋に 持久的なトレーニングをすると遅筋に なります また 男性では速筋(白筋)の比率が高く 女性では遅筋(赤筋)の比率が高い 加齢により 速筋(白筋)は減少しやすく 遅筋(赤筋)は萎縮しやすくなる といったことが わかっています お寿司屋さんで 赤身や白身のネタを見ながら これにはミトコンドリアがたくさん含まれているのだな とか これは瞬発力が強いのだな とか そんなことを ふと思ってみるのも 楽しいかもしれません?(笑) 次回は 骨格筋と病気 特に糖尿病との関わりについて紹介します
高橋医院