どうして二日酔いになるか?
中央区・内科・高橋医院の お酒と健康に関する情報 早稲田の学生さんから 学生さんたちが 良いと思っている二日酔い対策について コメントしてくださいと リクエストがありましたから ちょうどよい機会ですので このブログでも二日酔いについて解説します どうして二日酔いになるか? アルコールを飲むと 胃で約20% 小腸で約80% 吸収されて 肝臓に運ばれ 酵素の働きにより分解されます 肝臓でのアルコール分解過程は 既に何回か説明しましたが まず エタノールが *アルコール脱水素酵素(ADH) でほぼ90% *ミクロソームエタノール酸化系酵素(MEOS)・CYP2E1 で約10% により代謝されて アセトアルデヒドになります MEOSは 大量に飲んだときに借りだされ その際に本来の仕事である薬物代謝が おろそかになるので 薬物中毒になりやすく お酒と薬の同時服用には要注意 というお話は既にしましたので 参照してください で このアセトアルデヒドが 二日酔いのさまざまな症状の原因となる悪者で この悪者を分解するために アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)が働いて 酢酸へと分解します このALDHの働きには SNPによる遺伝的な差があり お酒に強い人(活性型) 中くらいの人(低活性型) 弱い人(失活型)は ALDHの遺伝子型により規定されているお話も 既に紹介しました ちなみに ちょっと補足しますが 人類のALDHの遺伝子型は もともとは活性型が基本タイプで 低活性型 失活型は 突然変異によって生まれた ハプロタイプなのです もともと人類は 左利きだった?(苦笑) で 酢酸は最後は炭酸ガスと水に分解され 体外へと排出されます こうしたアルコールの分解能力は 個人差がとても大きくて ALDHの遺伝子多型以外にも 体の小さい人より大きい人の方が 分解するスピードは早いというデータもあり 性差もありますし 加齢により分解速度は遅くなります 今回 学生さんたちにもアドバイスをしましたが 学生のうちに 自分がどれくらい飲んだら二日酔いになるかを 学んでおくことが お酒の失敗をしないためにも重要です 書き手もしっかり勉強しました!(苦笑) さて アセトアルデヒドは毒性が強く 血液中のアセトアルデヒド濃度が高くなると 頭痛・吐き気・発汗など 二日酔いの症状を引き起こしますが 実際の二日酔いにはこの他にも 脱水症や胃腸の不具合などが加わります アルコールそのものに 排尿を促進する利尿作用がありますが (飲み会の途中には なんどもトイレに行きたくなるでしょう?) 体内から水分が失われて 充分に水分補給をしないと 血が濃くなって頭痛がしたリ 気持ち悪くなるイメージです またアセトアルデヒドは アルコール性低血糖を誘導します アルコールが入ると 肝臓は最優先で アルコールやアセトアルデヒドを分解しようとし これにより 他の栄養素の代謝が遅れてしまうだけでなく 肝臓でグリコーゲンから糖を作る 糖新生も抑制されてしまうので 血糖値が上がらない状態(アルコール性低血糖)となり 体に力が入らず無気力に陥りやすい しこたま飲んだ後に 〆のラーメンやお茶漬けといった 炭水化物(糖質)が恋しくなるのは 実は体の正直な声でもあったのです でも 糖尿病や肥満の方は 〆のラーメンは厳禁ですよ!(笑) ということで こうした二日酔いになる原因を 理解したうえで 二日酔いにならないための対策を立てていくことが大切で 次回に詳しく説明します
高橋医院