便の形にご注目!
前回は 慢性便秘の各タイプの説明をしましたが 何か別の病気があって そのために便秘になっている場合(続発性便秘)や 特定の薬物を服用しているので便秘になる場合 もあるので 注意が必要です <続発性便秘 薬剤性便秘> @便秘の原因になる病気としては *大腸がん 肛門狭窄などの 腸や肛門そのもの病気 *甲状腺機能異常 *強皮症 *パーキンソン病 *筋ジストロフィー などがあり @便秘の原因となる薬剤としては *鎮咳薬 麻薬 *抗うつ薬 抗不安薬 向精神病薬 *胃腸の痛みに使用される ブスコパンなどの抗コリン薬 *抗パーキンソン病薬 *利尿薬 *気管支拡張薬 *降圧薬のカルシウムブロッカー などがあります 患者さんにとっても医者にとっても いちばん心配なのは大腸がんですから 便秘で悩まれている患者さんには 便に血が付いていないかをうかがったり 便潜血反応検査をすることが多いのですが 便秘の方は 往々にして肛門の内部に痔があったりするので どうしてもいきんで排便するために 痔に障害が出て 便潜血反応が陽性になることもあります そうした状況が推測される場合は 大腸内視鏡検査を行うことになります <便の形状と便秘の関連> 話が少し変わりますが 便秘の診断には 便の形状の観察 も とても重要になります 食物残渣が大腸を流れていく間に 水分が吸収されて便が形成されますから 大腸の通過時間が短ければ 水分が吸収されず 柔らかい便になり 通過時間が長ければ 水分の吸収が進んで コロコロとした硬い便になります よく使われる便の性状分類では 硬いコロコロ便から 水のような水様便まで 7段階に分類されます 硬い方から柔らかい方に 順番に 1. コロコロ便 : ウサギの糞のように硬くてコロコロ 2. 硬い便 : ソーセージ状(バナナ状)の硬い便 3. やや硬い便 : 表面にひび割れのあるソーセージ状の便 4. 普通便 : 表面が滑らかで柔らかい便 5. やや柔らかい便 : 柔らかい半分固形の便 6. 泥状便 : ふにゃふにゃで不定形の小片便 泥状便 7. 水様便 : 固形物を含まない液体状の便 大腸通過時間は コロコロ便で約100時間 水様便で約10時間 とされています 読み手の皆さんの便の形は どれでしょう? 形状が1や2の場合は便秘で 6や7の場合は下痢になります 3 4 5の場合は正常な便で ソーセージやバナナのような形をした4の形の便が 理想とされています 食べたものの種類 水分の摂取程度 運動などにより 便の形は変化してきますから 普段から排便後には 便器の中をよく観察して どんな食生活パターンのときに どんな形の便が出ているかをチェックされて 4のような形の便が出るような 食生活パターンで過ごされるのが 理想的です 患者さんに 便器の中の便は どんな形をしていますか? とうかがっても そんなもの見ませんよ! と言われる方が少なくありません 便器の中をのぞきこむなんて 変な行為に思われるかもしれませんが 普段から自分の便の状態を知っておくことは大切で 何か異常があったときの判断材料にもなります 便の形のチェック 忘れないでください!
高橋医院