便秘で悩まれる患者さんが
相談に来られたとき

いきなり便秘薬を使わずに
患者さんの生活習慣をうかがい
改善すべき点があれば改善することを
お勧めします

ポイントとなるのは 以下の諸点です

<水分 繊維質の摂取>

特に高齢者の便秘の方では 
両方とも減っていることが多いので要注意です

食物繊維が多い食品

@繊維は1日に20g以上の摂取が目標です

*全粒穀物 果物 野菜など
 繊維の多い食品を食べる

*山芋・オクラ・なめこ・海藻・フルーツなどの
 水溶性食物繊維
 便をやわらかくするのでお勧めです

*根菜類・穀物・豆類・芋類・きのこ・玄米等の
 非水溶性食物繊維
 腸を動かし便を増やします


食物繊維が多い食品2

@水分は 1日に2l程度が目標です

女性は1日にコップ9杯 
男性は13杯

今はコンビニなどの
ペットボトル飲料を飲むことが多いので
500mlを1日に4本が目標です


水分不足により便秘になることを注意するポスター


<排便習慣の改善も重要です>

まず 毎日 食後に 
十分な時間トイレに滞在する時間を作ること

良い排便のための生活習慣をまとめた図

食後がいちばん便意を感じやすいからで

朝食後に便意があっても 
トイレに行かなければ
そのうち便意が喪失してしまいます

便意を感じたら 
我慢せずトイレに行く生活習慣作りが大切です

我慢せずトイレに行く生活習慣作りの大切さを訴えるポスター


<排便姿勢もポイントのひとつです>

意外に思われるかもしれませんが 
これがバカになりません

強い前傾姿勢をとることが大切です

というのも 
前傾すると直腸の傾きが肛門の軸に平行になるので
便が出やすくなるのです

排便に良い姿勢の図示

そういう意味では 
昔の和式便所は理想的でしたが

今の洋式トイレで
上半身を立てて新聞を読む姿勢は 
排便には最悪です

直腸の傾きと肛門の軸がクロスして 
便が出にくくなるのです

そこで 
洋式トイレでも
上半身を前かがみにして排便するとよく出ます

小柄な方は 足置きを置くと
前傾姿勢がとりやすいですし
踵を少し上げるのもポイントです

<運動習慣も大切です>

速足で歩く 
自転車に乗る 
芝生を刈るなどの中等度の運動を
週に最低2時間は行うようにしましょう

適度な運動後の休憩時に 
大腸の動きが活発になり排便しやすくなります

運動後にゆっくり休憩すると 
より効果的です

排便のための運動習慣の重要性を示す図


<睡眠時間を充分にとり ストレスをためない>

書き手は個人的には 
これが一番大切のような気もします

既にご説明したように 
脳と腸管の動きは密接につながっていますから
ストレスや緊張感が過度にあると
 なかなか排便できなくなります

ストレスが脳腸相関により大腸の運動に影響を及ぼすことを示した図

私事で恐縮ですが 
個人的経験からも 
睡眠時間が足りないと便秘になる

逆に週末などにリラックスして
たっぷりと寝ることができると
スムーズにバナナ状の便が出ることが多いです

研修医や病棟医時代 
ほぼ毎日ストレスや緊張感にまみれていた頃は
週末にしか排便できなかったこともありました(笑)

ストレス解消が排便に重要なことをアピールするポスター

便秘で悩まれている方は 
是非 ご自分の生活習慣を見直してみてください


高橋医院