男を男たらしめるのは 
性染色体のY染色体 

というお話をしましたが

性染色体ってなに? 

という方も多いと思いますので 
詳しく説明します

染色体は 
遺伝子検査の解説で説明したように
DNAがとぐろを巻いて 
折り重なって形成されているものです

染色体がDNAがとぐろを巻いて折り重なって形成されていることの図示

ヒトの細胞の核のなかには

22対の常染色体と 
2本の性染色体

があります

22対の常染色体と2本の性染色体


性染色体には 
X染色体と 
Y染色体があり

X染色体とY染色体

女性は 
X染色体を2個持ち

男性は 
X染色体を1個 Y染色体を1個 
持っています

女性はX染色体を2個持ち 男性はX染色体を1個 Y染色体を1個持つことを示す図

では どうして女性と男性は 
持っている性染色体が異なるのでしょう?

お父さんの精子と
お母さんの卵子が
結合して受精卵ができ

受精卵が分裂を繰り返して 
胎児が発生してきて 
ヒトになりますが

受精卵の核には
精子がもつ22対の常染色体 
卵子がもつ22対の常染色体が存在しますが

性染色体は

卵子から 
X染色体を1本受継ぎ

精子から 
X染色体かY染色体のどちらかを受継ぎます

精子からX染色体を受継ぐと 
性染色体の組合せはXXとなり
その受精卵は女の子になります

精子からY染色体を受継ぐと 
組合せはXYになり
受精卵は男の子になります


両親からもらう性染色体の組合せにより 子供の性別が決定されることを示す図

前回 説明したように

Y染色体があると 
男性になり

Y染色体がなければ 
女性になるからです

少し話が本筋から脱線しますが

ミトコンドリア・イブの話をしたときに
ミトコンドリアのDNAは 
お母さんからしか受継がれないので
ミトコンドリアDNAを解析していけば 
女系のルーツにたどりつける
と 紹介しました

一方 
Y染色体は
男にしか存在しないので

ミトコンドリアDNAとは逆に
Y染色体の遺伝子を解析すれば 
男系のルーツにたどりつくことができます

Y染色体は
分裂するときに染色体の交差が起こらないので
変化せずに伝わり 保存状態も良いので 
さらに好都合です

実際にそうした解析がなされ 
女性と同様に
男性のルーツも 6万年前にアフリカに存在していたことが
示されました

Y染色体を持つ男性の起源と世界への分布の様子を示した地図

さらに話が脱線して恐縮ですが

現在の日本人の男性が持つY染色体の遺伝子タイプは
ユーラシア大陸には存在していません

Y染色体の遺伝子タイプの分布を示す世界地図

どういうことかというと

人類の祖先がアフリカからヨーロッパを経て
ユーラシア大陸を東に向かって 
日本にたどりついたとされていますが

どうも日本人男性の祖先は
ヨーロッパやユーラシア大陸では 
争いに負けて排除されてしまったようで

だから日本人のY染色体遺伝子タイプは 
彼の地にはない

つまり 
争いに負けて 
はるかかなたの日本にまで落ち延びてきて
ようやく安住の地を見つけたのが 
日本人男性のルーツのようで

こんな話を聞くと 日本男児 
なんとなく哀しくなりますね(苦笑)

ちなみに 
現在の日本人女性のミトコンドリアDNAは
今もユーラシア大陸に残っているそうです

ミトコンドリアDNAの遺伝子タイプの分布を示す世界地図

うーん 頭が上がらない理由は 
そういうこと?(再苦笑)

脱線ついでに もうひとつ

世界でいちばん広い地域に残っている
=世界最強のY染色体遺伝子は

チンギス・カーンのものだそうです

チンギス・カーンの肖像

ホント?(笑)

脱線しすぎたので 
X染色体 Y染色体の詳しい解説は 次回にします
高橋医院