脂質異常症の治療は 
食事療法 運動療法 薬剤療法 
がありますが

今日は食事療法について説明します

<質の良い食材への置き換え>

大原則は 料理をするときに

コレステロールが高い
卵(鶏卵魚卵など) 乳製品 肉といった動物性の食材を
植物性の食材に置き換えることです

@肉を 大豆や豆腐などの大豆製品に置き換える

さまざまな大豆食品をまとめた図

@バターの代わりに オリーブ油を使う

オリーブオイル

といった注意が基本になります

これまでにも度々解説してきましたが
今や脂質は 量でなく質が問われる時代です

@飽和脂肪酸(動物性脂肪)を減らし
 不飽和脂肪酸(植物性脂肪・魚)を増やす

不飽和脂肪酸を多く含む食品

<減らした方が良い食材>

@コレステロールを多く含む食品を減らす

コレステロールを多く含む食品

@ハム ベーコン ソーセージなどの加工品は
 飽和脂肪酸 塩分を多く含むので控えめに

ハム ベーコン ソーセージなどの加工品

トランス脂肪酸は極力避けるようにする

トランス脂肪酸を多く含む食品

といったことが大切です


<積極的に摂った方が良い食材>

@大豆食品

繰り返しになりますが
大豆などの植物性タンパク質を
たっぷりと摂ることも重要です

植物性タンパク質には
コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあるので
豆腐 納豆などの大豆食品を
毎日の食事にとり入れましょう

大豆食品

@食物繊維

食物繊維を多く含む野菜などを
積極的にとることも大切です

食物繊維には

*水に溶けやすい水溶性食物繊維と
*水に溶けにくい不溶性食物繊維があり

水溶性食物繊維は 
コレステロールや中性脂肪の腸内での吸収を抑制し

不溶性食物繊維には 
腸内環境をよくする 
便の量をふやして排出を助ける
といった効果があるので 
コレステロールの排泄を促進します

食物繊維を多く含む食品

現代の日本人は食物繊維を
必要量の半分程度しかとっていないので
1日30gの摂取を目標に 
積極的に摂ることが大切です

食物繊維が多い食材は
イモ類 根菜類 キノコ類 野菜類 豆類 海藻類などです

@ビタミン

ビタミンC Eの摂取も効果的です

これらのビタミンは抗酸化作用があり
LDLの酸化を防ぎ 
動脈硬化を予防する働きがあります

ビタミンCを多く含む食品

ニンジン カボチャ トマト ピーマンなどの緑黄色野菜
魚では サケ サバにもビタミン類が豊富です

ビタミンEを多く含む食品

また ビタミンCとEは一緒にとると より効果的です

以上が食事療法の基本ですが

<コレステロール摂取量制限の撤廃>

最後に 
コレステロール摂取量制限についてコメントします

既に説明しましたように

昔は エネルギー摂取量のうち脂質のしめる割合を
25%・300mg以下に制限しましょう 
と推奨されていましたが

最近はその考え方が変わりました

何度もご説明したように 
脂質摂取の「量から質」への転換で

欧米では 
食事中のコレステロール摂取量と血中コレステロール値の間の
明らかな関連を示すエビデンスがないことから

これまで推奨していたコレステロール摂取制限が無くされました

日本動脈硬化学会も2015年に
健常者における 
食事中コレステロール摂取量と血中コレステロール値の
相関を示すエビデンスが十分ではないことから

コレステロール制限は推奨されていない 
との見解を出しました

コレステロール制限の撤廃を報道する記事

さらに
高値となった血中LDLを減らすためには
生活習慣 運動 食事など
包括的に修正することが大切であり

コレステロール摂取のみを制限しても
改善はほとんど期待できない

食事制限だけでは不十分なことを示す図

特に摂取する脂質に焦点を当てる場合
コレステロールだけではなく
脂肪酸のバランスに留意することが大切である とし

我が国では伝統的な日本食が
アメリカが推奨するDASH食などと同様の
食事内容パターンを示しており

伝統的な日本食は
抗動脈硬化的であることがすでに示されており
それに加え米国では食されていない海藻類を摂取することと
豆類のなかで特に大豆を摂取することの意義が確認されている

として 日本食を強く推奨しています


日本食


ただ 注意しなければいけないのは
コレステロール摂取制限が無くなったのは
あくまで健常人の食事という点で

脂質異常症の方は
依然としてコレステロールの摂りすぎには
充分に注意が必要です

大切なポイントは

*肥満 メタボ 糖尿病 高TG血症の方は
 摂取カロリーを制限する必要がありますが

*高LDL血症の方は カロリーだけでなく
 飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量に
 注意する必要があること

*動脈硬化を防ぐには 
 高LDL血症だけでなく
 血圧 血糖値のコントロール
 禁煙や運動など包括的な生活習慣の改善を介した予防が
 大切である

ということです

特にタバコは 
HDL-C値を低下させ LDLの酸化を促進し
動脈硬化の直接的な原因となりやすいので

禁煙は大切です

禁煙の重要性を訴えるポスター

ただ 禁煙すると太ってしまうことが多く 
悩ましい問題です
高橋医院