中央区・内科・高橋医院の
健康のための栄養学に関する情報


コレステロールは悪いものだから 
なるべく控えた方が良い!

というのが 
世間一般の“常識”で

多くの皆さんが 
そのように認識しておられることと思います

実際に当院でも 
脂質異常症の患者さんには
「お肉ばかり食べないように 
 脂っこいものばかりは避けてください」
とお話ししています

しかし

「健康な人は 
 コレステロール摂取量に
 それほど神経質になる必要はない」

というのが最近のトレンドになってきています

<食事からのコレステロールの摂取制限が
 ガイドラインから削除されている>

そもそも問題なのは

総コレステロールが高いことではなく
動脈硬化を促進する悪玉の
LDLコレステロールが増加していること

日本の動脈硬化性疾患予防ガイドラインでも
2007年の診断基準から

*総コレステロール値の制限は
 削除され

*LDLコレステロール管理が
 重要視されています

そして最近の研究により

日々の食事で
コレステロール摂取量を減らしても

LDLコレステロール値は下がらないこと 

が明らかにされたのです

コレステロール値は食事に影響されないことをアピールする図

正確に言うと

コレステロールの摂取制限で
血中LDLコレステロールが
低下する人と低下しにくい人がいて
個体差がかなり大きいようです


前回ご説明したように

食事から摂取されるコレステロール量は
全体の20%に過ぎず

残りの80%は体内で合成されるので

こうした結果は
別に驚くに値しないかもしれません

コレステロールの80%が体内で合成されることをアピールする図

そのため

アメリカの一般国民向けに発表された
最新のガイドラインでは

これまで推奨していた
コレステロール摂取制限が削除され
かなりの反響を呼びました

コレステロール摂取制限の削除を報道する新聞記事

日本の
「2015年日本人の食事摂取基準」でも

健常者ではコレステロール制限は
推奨されておらず

コレステロール摂取制限の削除を報道する新聞記事2

日本動脈硬化学会も
健常者の脂質摂取に関わるこの記載に
賛同しています

つまり 健康な方は
日々の食事でのコレステロール摂取量に 
過度に神経質になる必要はない

国内外の学会から
こうした食事のコレステロール制限に関する方針変更が
発表されたので
一時はマスコミが大騒ぎしましたが

しかし 
これはあくまで健常者のお話で
脂質異常症の患者さんは別ですので 
勘違いされないでください!


<重要なのは 量ではなく質>

ということで 量 は問題でなく
重要なのは 質 なのです 


コレステロール悪玉説の誤解を喚起する図

でも 
いきなりコレステロールの質と言われても 
よくわかりませんよね

日本の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012には

脂質異常症(高LDLコレステロール血症)の患者さんが
食事療法を行う注意点として

*飽和脂肪酸 4.5%以上7%未満

*トランス脂肪酸の摂取を減らす

*コレステロール 200mg/日以下

と記載されています

既にご説明したように 
動物の肉に多く含まれる飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸に比べLDLコレステロールを上げやすいので
たくさん摂らないほうが良い

飽和脂肪酸はコレステロールを上げることを示す図

フライドチキンやケーキ・ドーナツなどに
多く含まれるトランス脂肪酸
LDLコレステロールを上げやすいので 
摂らないほうが良い

トランス脂肪酸を多く含む食品

そして 
健常人と異なり患者さんが対象なので
コレステロール摂取量の制限も入っています


コレステロールを多く含む食品

また 
これらの脂肪酸やコレステロールの摂取量は
超過してはいけない値ではなく 
目安となる平均摂取量で

時にはたくさん摂取しても 
常日頃は抑えておこうとするのが大切

血中コレステロール値を下げることが
明らかにされている
食物繊維を多く含む 大豆製品 海藻 野菜類を
増やすことが大切

とも記載されています

コレステロールを下げる食材

ということで 今日のポイントは

*健康な方は
 食事からのコレステロール摂取に 
 過度に神経質になる必要はないが

*高LDLコレステロール血症の方は
 飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量に
 充分に注意する必要がある

肉ばかり食べていてはダメで 
魚の方をたくさん食べましょう!

という 
以前から言われていることに落ち着くのですが

やみくもにコレステロールを
ワルモノ扱いして制限するのではなく
量より質に注意して摂取しましょう!

というのが 大きなメッセージになります

どんな食物に 
どんな種類の脂質が含まれているのか?

日々の食事の中で 
そうしたことに気を配る習慣を
脂質異常症の患者さんはもちろん 
健康な方にもつけていただきたいです
高橋医院