ノンレムとレム
ヒトはなぜ眠るのか? といったストレートな問いに入る前に ヒトはどのようにして寝ているか 説明しましょう タイムリーに 今年のノーベル賞ネタになった サーカディアン・リズム 日内時計・サーカディアン・リズム の解説でも紹介したように ヒトの睡眠にはパターンがあります そのパターンを構成するのが レム睡眠 と ノンレム睡眠です レム睡眠は 夢を見る睡眠として有名ですので この名前を聞いたことがある方も おられることでしょう レム睡眠をしているときに よく観察すると ヒトは眼球が盛んに左右に動いています だから Rapid Eye Movement 頭文字をとって REM・レム睡眠と呼ばれるようになりました さて ベッドに入って 電気を消して 寝はじめると まずノンレム睡眠が始まります ノンレム睡眠は 眠りの深さによって Stage1から4の4段階に分かれます 最初は Stage1の浅い眠りで 時間経過とともに 徐々にStage2 3 4へと 深い眠りに入っていきます Stage3 4は 徐波睡眠と呼ばれる とても深い眠りです 入眠から90~120分経過すると 最初のレム睡眠が再び出現してきます 比較的短時間のレム睡眠が終わると 再びノンレム睡眠になります この ノンレム睡眠のStage1から レム睡眠の終わりまでが ひとつの周期で 一晩寝ている間に この周期が4~5回繰り返されます 一晩の睡眠の前半は ノンレム睡眠が多く 特に深い眠りの徐波睡眠の比率が高いのが特徴です 一方 後半は ノンレム睡眠 特に徐波睡眠が減り レム睡眠が増加してきます 明け方になると レム睡眠がさらに増加して やがて目覚めを迎えます 睡眠全体では ノンレム睡眠が80% レム睡眠が20%を占めますが その時間分布は異なるのです ヒトは こんなふうにして 寝ています レム睡眠とノンレム睡眠は 同じ睡眠でも 質的に全く異なります ノンレム睡眠は まさに睡眠そのもの レム睡眠は 睡眠と覚醒の中間のような状態です 赤ん坊がお母さんのお腹の中にいるときは レム睡眠で寝ています そして 産まれてすぐに ノンレム睡眠が始まります 幼児期から成長期にかけては レム睡眠が優勢ですが 歳を重ねていくにつれ レム睡眠の比率は減り ノンレム睡眠が増えてきます こうしたことから レム睡眠は 大脳の発達を促し 脳の神経回路の作成にも関わるのでは? と推測されています 一方 ノンレム睡眠は 大脳の発達とともに出現してきて 脳の発育が盛んな幼児期には長く 高齢になると短くなることから 脳の機能に関係しているのでは? と推測されます また レム睡眠のときに ヒトは夢を見ます 明け方 たっぷりと夢を見て そのまま目覚める経験をされた方は 少なくないと思います でも ノンレム睡眠のときは夢を見ません ノンレム睡眠では ひたすら寝ることに一生懸命なのです どうして こんな質的に異なる2種類の睡眠が コンビを形成しているのでしょう? 次回 詳しく説明します
高橋医院