睡眠12箇条 その1
睡眠・覚醒のメカニズムや 不眠症について 解説してきましたが 最後に 2014年に厚労省が出した 健康づくりのための睡眠指針2014・睡眠12箇条 をご紹介します この指針が出された背景として *健康づくりの三大要素 (栄養 運動 休養)の中で 睡眠は最も対策が遅れた分野である *睡眠の異常が 生活習慣病発症 事故の発生 生産効率の低下 につながる という事実があります 睡眠についても本腰を入れなければ というわけです これまで解説してきたことの まとめにもなりますので ご覧ください 1. 良い睡眠で からだもこころも健康に @睡眠には 心身の疲労を回復する働きがある @睡眠の量的不足 質的悪化により 健康上の問題や生活への支障が生じる *睡眠時間の不足や睡眠の質の悪化は 生活習慣病のリスクにつながる *不眠が うつ病のようなこころの病につながる *睡眠不足や睡眠障害による日中の眠気が ヒューマンエラーに基づく事故につながる 2. 適度な運動 しっかり朝食 ねむりとめざめのメリハリを @適度な運動の習慣づけは 入眠を促進し 中途覚醒を減らすことにもつながる *1日30分以上の歩行を 週5日以上実施している人 週5日以上の習慣的運動をしている人は 入眠困難や中途覚醒を訴える率 不眠症の発症リスクが低い @しっかりと朝食をとることは 朝の目覚めを促す *睡眠・覚醒リズムが不規則な人は 朝食の欠食頻度が多い 朝食の摂取量が少ない 昼食や夕食の摂取量が多い といった傾向がある *朝食を欠食する頻度が多い人ほど 入眠困難 中途覚醒 早朝覚醒 不眠を 訴える割合が多い *夜食と その後の間食で摂取したカロリーの量の多さは 入眠に至るまでの長さ 睡眠効率の低さと関係する *これらの生活習慣の改善によって 睡眠と覚醒のリズムに メリハリをつけることができる *一方 就寝直前の激しい運動や夜食の摂取は 入眠を妨げることから注意が必要 @睡眠薬代わりの寝酒は睡眠を悪くする *日本人は 睡眠に問題があっても 主治医に相談する頻度は低く 睡眠のためにアルコールをとる人の割合 (10 カ国の平均19.4% 日本人30.3%)が高い *飲酒によって レム睡眠は減少し ノンレム睡眠が増加する *飲酒によって 睡眠時間が減少することも示されている *つまり 飲酒が 睡眠を質・量ともに悪化させる *飲酒量と睡眠時無呼吸の重症度との関係が示されており いびきや睡眠時無呼吸を有する者では 飲酒に注意することが必要 @就寝3~4時間前の喫煙やカフェイン摂取を避ける *ニコチン カフェインには 強い覚醒作用があり 就寝前の摂取は 入眠を妨げ 睡眠時間を短くする 3. 良い睡眠は 生活習慣病予防につながります @睡眠不足や不眠は 生活習慣病の危険を高める *短い睡眠時間や不眠が 肥満 高血圧 耐糖能障害 循環器疾患 メタボリックシンドロームの発症率を高める *睡眠の変調が 食事や運動などの他の生活習慣の乱れを惹起する *睡眠不足や不眠を解決することで 生活習慣病の発症を予防できる @生活習慣病対策で食事や運動指導を行う前に まず適切な睡眠が取れているかどうかを 確認する必要がある @睡眠時無呼吸は生活習慣病の原因になる *治療しないと 高血圧 糖尿病 不整脈 脳卒中 虚血性心疾患などの 危険性を高める *減量 禁煙 節酒が 睡眠時無呼吸の改善に有効 4. 睡眠による休養感は こころの健康に重要 @眠っても心身の回復感がなく 気持ちが重たく 物事への関心がなくなり 好きだったことが楽しめない といったことが続く場合は うつ病の可能性がある *うつ病になると 9 割近くの人が何らかの不眠症状を伴い なかでも 睡眠による休養感の欠如は最も特徴的な症状 *次いで 入眠困難 中途覚醒 早朝覚醒が認められる @不眠がある人は うつ病にかかりやすい 続く
高橋医院