運動だけじゃダメ 結局 問題なのは食欲?
中央区・内科・高橋医院の 食事と健康に関する情報 前回のブログでは 運動すればやせられる という神話 に黄色信号がともりましたが いったいどうして そんな話の展開になっているのでしょう? 2009年に発表された論文では 運動したあとには食事の量が増えることが 明らかにされました! 運動により 食欲が増進してしまうのです 運動でたくさんカロリー消費をしたと思って 体が安心してしまうのでしょうか? 2012年のレビューでも ヒトは運動をすると 実際よりも多くのエネルギーを消費したつもりになり 運動後の食事の量が増えること が指摘されました 食事の量が増えるだけでなく 運動後は ついダラダラしたり 階段でなくエレベーターを使ったりして 無意識のうちにエネルギー節約モードに入ることも 明らかにされました こうした現象を ヒトの体には 激しい運動をしたあとに 消費したエネルギーを補償しようとする そんなメカニズムがあるのではないか? と説明しようとする学者たちもいます ヒトは 将来エネルギーが必要になったときのために 運動などでエネルギーを消費したあとは 食欲を増やして エネルギーを摂取しようとするし エネルギー節約モードに入るのかもしれません 一方 エネルギー消費量は 運動量に比例して右肩上がりに増えるのではなく ある時点で頭打ちになり それ以上は増えない という指摘が2016年に発表されました ある程度運動すると カロリー消費のペースが鈍化するというのです こうした仮説の裏付けになるのが またしても「ご先祖様体質説」です インスリンの分泌が悪くて太るのも 塩分の摂りすぎによって高血圧になるのも ご先祖様から受け継いだ体質と 現代の食生活の内容が 合致しないから という話は 既に何度もご紹介しましたが ここでも このご先祖様体質説が登場します 私達のご先祖様は 食料調達が不安定な状況下で暮らしていたので 運動量に比例して エネルギー消費量がどんどん増えていくことを危惧して ある時点でエネルギー消費量が止まるように リミッターを付けたのではないか? というのです ちょっと面白い仮説ですね?(笑) ということで サイエンスの世界では 残念だけれど 運動しただけでは体重は張らない という考え方が主流になっていますが それでも世の中では いくら食べても運動すればやせられる という神話が いまだに幅を利かせています これは 食品業界 飲料業界の陰謀ではないかと うがった見方をする方々もおられるようですが はっきりと言えることは 運動だけでは 体重を減らすのは難しい! 肥満に影響するのは 運動不足よりも 過剰なカロリー摂取であって 太っている理由は 食べ過ぎだから! ということのようです 運動は いろいろな点で健康にメリットがあるので どんどんすべきだけれど こと体重減少にかけては 運動に過度の期待をかけてもムダ やせたいのなら 食べる量を減らさなければ意味がない 最も問題にすべきなのは 食事と食欲 実際に ダイエットに成功している人たちは カロリー摂取量を制限し 食事を山盛り食べないようにして 定期的に運動もしているそうです どうやら 減量を志している方は 運動の内容や時間より 運動後に 根拠のない安心感のせいでたくさん食べてしまうリスク を心配した方がよさそうです 運動は 減量のためではなく 健康改善のためにするもの 減量のポイントは あくまで食欲との戦い ということで うーん やっぱり侮れないのは 食欲ということですね!
高橋医院