三大栄養素比率
中央区・内科・高橋医院の 健康のための栄養学に関する情報 前回 カロリー制限をすると タンパク質の摂取量が減ってしまうリスクを 紹介しましたが どうして そうしたことが起こるのか? そこに 三大栄養比率の落とし穴 が存在します 三大栄養素である 炭水化物 脂質 タンパク質を どのような割合で食事から摂取するのが いちばん健康的か? 巷では色々なことが言われていますが 実は そんなベストな比率は わかっていないのです! その証拠に アメリカ糖尿病学会は *理想的な三大栄養比率など 存在しない *脂質制限について これまではとやかく言われてきたが 脂質摂取量は 重大な栄養学的関心事項ではない と宣言しています 一方 日本で推奨されている黄金比率は 厚生労働省が発行している 「日本人の食事摂取基準」に記されている *タンパク質を 15~20% *脂質を 20~25% *炭水化物を 50~60% 確かに 入院している患者さんの食事を見ると ご飯の量がかなり多くて おかずはそれほど多くなく見えますが あれは 推奨されている三大栄養素比率に 沿っているのでしょう では どうしてそのような比率に決まったのか? 実は そのエビデンスは ないのです! まず 必須アミノ酸が摂れる最小限のタンパク量 が決まり ついで 必須脂肪酸が摂れる最小限の脂質量 が決まり 残りが炭水化物に割り振られた! というのが実情です つまり 脂質やタンパク質に関して *脂質を摂りすぎると動脈硬化になる *タンパク質を摂りすぎると腎障害が起こる といった 今では科学的に否定されている呪縛から 逃れられていないので タンパク質や脂質の量が 最小限に限定され あとの残りを 無害と考えられてきた 炭水化物・糖質に割り振られているのです しかし これまでに何度も説明してきたように 糖質を摂取しすぎると 食後高血糖やグルコース・スパイクが起こり 糖尿病や心血管病の発症リスクが高まります ですから この三大栄養素比率では *インスリン分泌能が低下している場合は 炭水化物の比率が高いので危険 *逆に タンパク質と脂質が不足しかねない というリスクが おこり得ます 日本人は昔から 米を食べることが最優先で あまりタンパク質は摂っていませんでした しかし 運動量も充分に保てていて カロリーも消費できていたので 炭水化物の比率が高い三大栄養バランスでも なんの問題もありませんでした ところが 昔と異なり 現代の日本人の日常生活における運動量では これだけの量の炭水化物からの得られるエネルギーを 消費しきれないと 考えられています さらに 炭水化物は脂肪に変換されやすいから 太ってしまう 一方で 体を作る成分としての タンパク質や脂質の摂取の重要性を もう少し評価すべきという意見もあります 栄養素の評価が エネルギーを得ることに偏っているので 炭水化物が重んじられて 体の成分を作るタンパク質や脂質が おろそかにされている というのです これらの事情から 三大栄養素比率の見直しも 考慮されるべきかもしれません さらに 糖質を控えれば 結果的にカロリー制限になっているのです 定食屋さんなどで メニューのカロリー表示をみると ご飯を抜きや少量にすると カロリーが半分ほども減っているのがわかります ごはん1膳・150gで 約250Kcalありますから 小盛にすれば 減った分のカロリーの肉や魚が食べられて タンパク質も摂取できます 炭水化物を摂りすぎると 摂取カロリーも増えてしまう カロリーの視点からも 炭水化物が50%を超える栄養比率で良いのか 疑問もわきます 再度 どうやら 糖質好きには厳しい時代になってきました
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