蒸留の奥深さ
コニャック も アルマニャック も ブランデーと呼ばれるお酒の仲間です ブランデー とは 果物を原料にして作られた蒸留酒 です *白ぶどうを原料にしたのが コニャック アルマニャック *リンゴを原料にしたのが カルヴァドス *チェリーを原料にしたのが キルシュ などのチェリーブランデー *木いちごを原料にしたのが フランポワーズ *プラム スモモを原料にしたのが スリヴォヴィッツ (これが美味しいのですよ! 個人的には大好き!:笑) 原料の果物の香りを楽しみながら 強いアルコール度数も楽しむ ブランデーは そんなお酒です で 白ブドウを原料にして作られるのが コニャックとアルマニャックですが いったい何が違うのでしょう? まず それぞれの産地が異なります コニャックは フランス南西部 ボルドーの北に位置する コニャック地方 アルマニャックは ボルドーのやや南にある アルマニャック地方 そして いちばん大きな違いは 造り方の微妙な差異です ブランデーは ブドウを醸造して出来たワインを蒸留して作ります 蒸留は 全ての蒸留酒造りの土台となる工程ですが アルコール(78.3℃)と水(100℃)の 沸点の差異を利用して蒸留酒を作ります つまり ワインを加熱しアルコール分に富んだ蒸気を分離し それを再冷却して アルコール度数が約70%と高い液体を抽出します この液体が コニャックやアルマニャックの原型で この時点で既に強い香りはしますが まだ無色透明です ちなみに この蒸留を効率よく行うための装置が蒸留器ですが アラブ人が中世の頃 金を造ろうと試行錯誤した過程で (錬金術 と呼ばれています) 蒸留技術や蒸留器が開発されました そうした努力のおかげで 世の左利きは 蒸留酒を楽しむことができるようになりました 蒸留器を発明してくれたアラブ人に感謝です!(笑) さて コニャックは 単式蒸留(約10時間)を2回行うのに対し アルマニャックの蒸留は 半連続式蒸留で ゆっくりと時間をかけて1回行います この違いが 風味に大きな差異をもたらします 一般に 蒸留の回数を重ねるほど より雑味がとれたピュアなアルコールになります ですから 蒸留を2回行ったコニャックは スムーズな口当たりになりますが 1回だけ それもゆっくりと時間をかけて蒸留したアルマニャックは よりワイルドな感じに出来上がります パンチが効いて 腰が強くて それでいて香りはフレッシュ コニャックに何か物足りなさを感じていた書き手が アルマニャックをいただいて その違いに驚き とても満足できたのは こうした理由によるものでした 製造が始まったのは アルマニャックは15世紀頃 コニャックはやや遅れて16世紀頃と言われ 蒸留の仕方も アルマニャックの半連続式蒸留の方が伝統的で コニャックの2回単式蒸留は 半連続式蒸留を改良したものです こうした蒸留方法により造られた コニャック アルマニャックは その後 最低でも3~5年間 オーク材の樽に貯蔵されて熟成されます 樽熟成も 奥が深い過程です 無色透明だった蒸留直後の液体が 琥珀色の 複雑な香りと味わいを持ったお酒に変身できるのは まさに樽熟成のおかげですが このあたりについては 明日以降 ウンチクすることにしましょう(苦笑) さて アルマニャック コニャックは 3つの文化が融合してできた という説があります *ブドウからワインを醸造した ローマの文化 *蒸留の技術や器を開発した アラブの文化 *樽熟成の方法を開拓した ケルトの文化 そのどれが欠けても アルマニャック コニャックは出来なかったわけで ダイジェスティブに 一杯のアルマニャックを嗜みながら それぞれの文化や歴史に思いを馳せるのも一興です そんな エラそうなことを言ってるけど 単なる酒飲みの戯言でしょ?(苦笑)
高橋医院