樽熟成の主役は 
言うまでもなくです

<樽>

樹齢100年以上のオーク材(樫 楢)が 
樽の材料として使われます

ブナ科コナラ属の木で
ひらたく言うとドングリが生える木です

ドングリが生える木の写真

@種類

*アメリカホワイトオーク

北米東部に多く生え 
バーボンを熟成させる樽に用いられます

ポリフェノール類を多く含むので 
ウイスキーの色と香味が複雑になります

*ヨーロピアンホワイトオーク

スコッチウイスキー コニャック シェリーの
熟成樽に使われるコモンオーク

ワインの熟成樽に使われるセシルオーク

があります

さまざまなオークの写真

*ジャパニーズオーク

ミズナラで 
香木を想像させる複雑でオリエンタルな香りがでます

アメリカやヨーロッパのオーク材とは 
かなり質的に異なるので
最近 世界が注目する
ジャパニーズウイスキーを熟成させる樽
として使われるだけでなく

ジャパニーズウイスキーのボトル

スコッチウイスキーのメーカーも
ミズナラ樽で熟成させる試みを 
行うようになってきています

ミズナラ樽で熟成させたウイスキーの写真

@大きさ

*バーレル樽 180リットル
*ホッグスヘッド樽 230リットル
*パンチョン樽 480リットル

が代表的で

ホッグスヘッドが 
ウイスキーの熟成に最も適した大きさとされています

色々な大きさの樽の写真

樽が大きいと
容量あたりのニューポットと樽材の
接触面積が小さくなるため 熟成がゆっくり進みます

@樽が出来るまで

木を伐採して 
1年間 放置乾燥させたあと切断し
その後1~2年間は外で雨風にさらして
樹脂成分を完全に取り除き 
タンニンを酸化させます

こうして 
樽材がお酒の熟成に悪影響を及ぼさないようにします

屋外に置かれた樽を作る木材の写真

そして樽が組み立てられます

樽を組み立てている様子

@新樽の内側を火で焼く作業は 
 トースト チャー と呼ばれます

ニューポットの刺激臭を吸収させるため
樽の木香を弱めるため

に行われますが

樽からの抽出成分 香味成分が
増加する効果もあります

樽の内部を焼いている様子

@使用可能期間

樽は100年以上使えます
6~7回の貯蔵に耐え 平均70年は働きます
最後は分解されて コースターになるそうです


<バーボン樽 シェリー樽>

ウイスキーの樽熟成には 
バーボン樽とシェリー樽が使われます

@バーボン樽

第二次大戦後に 主流となりました

アメリカでバーボンウイスキーの熟成に
4年くらい使われたものが
海を渡りスコットランドに運ばれて
スコッチウイスキーの熟成に再利用されるのです

ちなみに
バーボンの熟成には新樽のみを使い
1度使った樽は2度と使いません

ですから
お下がりの樽を
スコッチウイスキーの熟成に用いることが出来るのです

バーボン樽の写真

チャーにより 内側がよく焦げているのが特徴です

バーボン樽による熟成で
ウイスキーの色は薄いライトブラウンになり
バニラに似た風味 柑橘系の香味が醸し出されます

また その樽が熟成させたバーボンウイスキーの種類
ジャック・ダニエル フォアローゼズ ワイルドターキー
などの違いにより

その樽で熟成させたモルトウイスキーの 
細かな風味が異なってくるそうです

色々な種類のバーボンウイスキーのボトルの写真

このあたりが 樽熟成の面白いところですね!

@シェリー樽

スペインで 
シェリーの熟成に2~3年くらい使われたものを
再利用します

ポリフェノールの種類 量が豊富で 
タンニンが濃いのが特徴です

シェリー樽の写真

シェリー樽は 
もともとモルトウイスキーの熟成に使われていました

というのも
イギリスはシェリーの大量消費国だったので
スペインから輸入したシェリー樽が 
たくさんあったのです

しかし
19世紀後半のブレンデッドウイスキーの開発により 
ウイスキー生産量が増え
シェリー樽が足りなくなって 
バーボン樽が使われるようになりました

ですから 
シェリー樽は希少傾向で8万円と高い(バーボン樽は7000円)

シェリー樽で熟成すると
色が濃く やや赤みを帯びた褐色になり

風味が濃厚で 
イチジクなどの乾燥果実の芳香 
シェリーの甘さがでます

マッカランのボトルの写真

さて 興味深いことに
ウイスキーメーカーにより 
使用する樽の種類が異なるそうです

マッカランはシェリー樽のみ

しかもシェリーの種類は ドライ・オオロソのみで
ファーストフィル(1回だけ用いられた樽)
セカンド・フィル(2回使われた樽)しか使わない

ラフロイグはバーボン樽のファーストフィルのみ


うーん スゴイ 
こだわりがあるのですね!


最近は ウッドフィニッシュ 
という熟成法も開発されています

バーボン樽で寝かせたあとに
シェリー ポート マデイラなどの
熟成に用いられた樽で寝かす方法で
より複雑な香味が醸し出されるそうです

ウッドフィニッシュについて説明した図

うーん 面白そうだけど
複雑すぎて 
わけがわからなくならないかな?(笑)


<シングルカスク>

樽の話をしたら 
シングルカスクについても言及しないといけません

酒屋さんで シ
ングルカスクウイスキーを見かけることがあると思いますが

シングルカスクは
他の樽で熟成したお酒と混ぜ合わせない
シングルモルトウイスキーのなかでも 
特別な存在です

最初にアルコール度を落とす加水もしないので
50~60度という高いアルコール度数になり
カスクストレングス と呼ばれます

樽からボトルに移すときに 
ろ過もしないので
ボトルの底に炭などが底に沈んでいることもあります

樽の大きさにもよりますが
大体1樽から150~300ボトルしか出来ないので
限定品になってしまい 価格も上がります

でも ストイックさ ピュアさを求めるなら 
シングルカスクかな?

シングルカスクウイスキーのボトルの写真

このように 樽は 奥が深くて面白いのですよ!

ニューポット(原酒)を 
どんな樽で どれくらい寝かせたら
どんな味や香りが楽しめるようになるのか?

左利きは 興味がつきず 
困ってしまいます!(苦笑)


高橋医院