年に一度のお正月

この機会にしか楽しめないことは
色々とありますが

そのうちのひとつが能の鑑賞です

元旦の朝 NHKでは6時半から
観世流の能「羽衣を放映していました



今年最初にみるテレビ番組が 羽衣
なんとなくおごそかな感じがしませんか?(笑)

羽衣は 天女が優雅に舞う演目です



静岡の三保の松原の松に 天女が衣を置き忘れて



それを見つけた漁師が持ち帰ろうとしますが

衣がないと天に帰れないと嘆く天女に
漁師は
返してあげるから舞を舞ってくれと頼みます



天女はそれに応えて舞を舞うという



どろどろした内容が多い能にしては
珍しく不条理や悲劇がないストーリーで
まさに新春にはうってつけです

天女を演じるのは 観世のお家元の清和さん

やはりこの演目は舞が見どころでしょうが

でも 能の舞をきちんと鑑賞するのは
意外に難しいのですよ

基本的に動作が簡略化されている能ですから
舞といっても
前後にすり足で少し移動したり
時折 片手を頭の方に上げて
衣装の袖を振り上げる仕草をするくらいなので

正直言って 見ていて飽きてくる(苦笑)

衣装 面 そして頭につけた飾りは
美しいのですが

でも さすがはお家元だけあって
そんな動きの少ない舞を我慢して見続けていると
なんとなく 所作に引きこまれていくのですよ

テレビだから
正面だけでなく 脇正面からのカメラアングルもあるし
アップで細かい所作も見ることができるのも
なかなか素敵です



天女が舞を終えて
本舞台から楽屋の鏡の間に引き上げようと
橋掛かりを引き上げていくと



名残惜しいような気がして
立ち止まって少し所作をしてくれると
それを見て なんとなく満足してしまうのですよ

なんとも 不思議な感覚です(笑)


そして昨日 6日の日曜日

銀座SIXの観世能楽堂で「翁」を見てきました



お正月に翁を見るのは念願でしたが
毎年 チケットがとれなかったり 都合が合わずで

今年 人生で初めて 新春の翁鑑賞ができました!

新春の能舞台は
屋根の下にしめ縄がずらっと張り巡らされていて
おごそかな雰囲気が漂います



お正月の翁の公演だけあって
和服姿の女性も目立ちましたが 
振袖率はゼロです(笑)

和装の男性の方も チラホラとお見かけしました

さて この翁という演目は
シテが神を演じるもので



謡本には「神歌」と書いてあります



能にして能にあらずと言われる

ストーリーもなく
天下泰平 国土安穏 五国豊穣を祈祷する舞を舞う
特別な演目です

お祝いの神事の世界

翁は 肉色(にくしき)と呼ばれる
実に柔和な表情をした能面をつけて舞います



神様 可愛い顔をしているのですね!(笑)

定刻になると
能面が入った箱を高くかかげた面箱を筆頭に
翁を演じる家元の清和さんが続き

その後 登場する全員が
美しい衣装をまとい列を作って
左の橋掛かりから舞台に進み
所定の位置に座ります

まず 家元が客席に向い深々とお辞儀

能役者が客席にお辞儀をするなんて
普段の能では見たことがない光景です

この時点で 
家元はまだ能面をつけておらず

自らの謡が終わったあとに
舞台上で能面をつけてもらいます

これも 通常の能では見られない
翁ならではの特徴です

また
いつもは舞台右に陣取る地謡の方々も
舞台正面の松の木の絵の前で
侍烏帽子を頭につけて陣取ります



とうとうたらりたらりら 
たらりあがりららりとう

おごそかな翁のソロで始まる
この呪文のような謡を
遂にナマで聞くことができて感激です!



でもね ストーリーがない舞だけだと
上述したように
ちょっと退屈してしまうのも事実で

書き手は不覚にも途中で
舟をこいでしまいましたよ(苦笑)

ただ 翁の舞のあとの三番三
ダイナミックな動きで目が覚めました



こんな感じで
実際に舞台の上で跳ねていましたし



途中で黒い能面をつけてからの舞も
躍動感にあふれていました


ということで 
遂に念願の「お正月翁」してきました!

ただ そのあと
能がふたつ 狂言がひとつ 仕舞もあり

午後1時から始まって 全部終了したのは午後6時



ちょっとハードなスケジュールで
最後の方はお尻が痛くなり
何度も座り直しました(苦笑)


翁を隣で一緒に見ていた方は
狂言のあとの休憩時間に外に出られ
その後 席にはお戻りになりませんでした(笑)

ちなみに
その方の名誉のために付け加えると

最初の翁が始まるときは ほぼ満席でしたが
休憩後の席の埋まり具合は
約7割になっていました

皆さん やっぱり
翁が目当てだったのですね!(笑)
高橋医院