肥満は病気か?
今年のお勉強ブログは
多くの方々が悩まれている
この話題から始めようと思います
肥満!
肥満は 治療が必要な病気ですよ!
そんなことを面と向かって言われると
ダイエットに励んでいる多くの方々は
きっと面食らってしまうことでしょう
しかし 最近の医学では
肥満の人々のなかには
医学的な治療が必要となる人がいる
と考えられていて
そうした人は「肥満症」と呼ばれています
では「肥満」と「肥満症」では
何が異なるのでしょう?
<肥満と肥満症の違い>
肥満は
*BMI>25で太っているけれど
内臓脂肪の蓄積はなく 健康的な被害はない
*治療する必要はない
*肥満症に移行するリスクはあるので
疾患の発症予防の対象となる
という人です
一方 肥満症は
*医学的に治療しなければいけない治療の対象
となります
<肥満症とは?>
では 治療が必要な肥満症とは
どのような人なのでしょう?
肥満症は
*BMIが25以上で
*肥満に起因ないしは関連する健康障害を合併
あるいは合併が予測され
医学的に減量を必要とされる状態
(減量により 改善 進展防止されるもの)
あるいは
*ウエスト周囲長によるスクリーニング検査で
内臓脂肪蓄積が疑われ
腹部CT検査にて確定診断された内臓脂肪型肥満
=健康障害をともないやすい高リスク肥満
と定義されています
上記の定義で言及されている
「肥満に起因ないしは関連する健康障害」とは
下記の11種類の疾患を指します
*耐糖能異常
*脂質異常症
*高血圧
*高尿酸血症
*冠動脈疾患
*脳梗塞
*脂肪肝
*月経異常 不妊
*睡眠時無呼吸症候群
*運動器疾患
*肥満関連腎臓病
これらの疾患以外にも
肥満との関連で注意すべき疾患として
*胆石
*静脈血栓塞栓症 肺塞栓症
*気管支喘息
*皮膚疾患
*男性不妊
*胃食道逆流症
*悪性腫瘍
が挙げられています
腎臓病 気管支喘息も
肥満と関連しているなんて
予想外でびっくりされた方も
多いのではないでしょうか?
<BMIとは?>
肥満症の定義に出てくる BMI
最近は色々な場面で
見聞きすることが多いと思いますが
ここで復習しておきましょう
BMIは
体重(Kg) / 身長(m)2
で表される指標です
BMIは
体脂肪率 ウエスト周囲長
と相関が高く
その値は
冠動脈疾患 脳血管障害など
肥満に関連して発症する
健康障害 死亡リスクに関連します
標準は22で
BMIと疾患合併率との関連は
Jカーブを示します
つまり
疾患合併率が最も低いのは
男性は22.2 女性は21.9で
それより低くても 高くても
疾患合併率は増加します
また 総死亡率の相対的危険度も
BMI23~25を底にして
Jカーブを示しています
BMIが25を超えると 肥満と診断されます
BMI>25の人の比率は
男性で28.6% 女性で20.3%とされ
ここ十数年で2~4倍に増加しています
また 高度肥満の指標となるBMI>30の方は
3.5%おられます
日本には
高度な肥満の方は少ないのですが
軽度肥満(BMI=26~27.9)でも
高血糖 高血圧 高中性脂肪血症 低HDL血症
のリスクが2倍以上になり
軽度肥満でも健康障害につながりやすいのが
日本人の特徴と言われています
また
BMIが低くても
内臓脂肪量が多い人がかなりいるので
たとえBMIが25以下でも
最近急に太ったりした方は
血糖 血圧 脂質などに異常がみられないか
注意する必要があります
<肥満症を治療する意義>
では 病気としての肥満症を治療する意義は
どのようなものでしょう?
それは
減量による肥満の改善で
合併する複数の健康障害を一挙に改善できる
ことです
最近は
血圧も血糖も脂質も全部高いので
それぞれに対する薬を飲まないといけなくて大変!
という方も多くおられますが
肥満が原因になっている場合は
減量により
高血圧も糖尿も脂質異常症も高尿酸血症も
薬なしで一挙に全部改善できるのです
3~5%の減量により
空腹時血糖 HbA1c
血圧
中性脂肪 コレステロール
のいずれもが
改善できることが研究により明らかにされています
ですから
肥満症を早期に見つけて
減量治療していくことはとても大切なのです
高橋医院