強力な抗炎症作用を有し
さまざまな病気の治療での有効性が示されている
ステロイドですが

ステロイドが使用される病気の種類と副作用をまとめた図
さまざまな副作用もあります

ステロイドの副作用をまとめた図


@ステロイド性骨粗鬆症

ステロイドを長期間飲み続けると
骨形成を促すホルモンの分泌減少などが起こり
骨がもろくなり
骨折につながる場合が多いことが知られています

ステロイド使用による骨折リスクの上昇を示した図

*長期治療患者の30〜50%に骨折が起こる

*プレドニンゾロン7.5mg/日以上の量を内服していると
 早期から骨折リスクが高いこと

が報告されていて
ステロイド性骨粗鬆症 
と呼ばれています

ステロイド性骨粗鬆症が生じる機序の解説図

患者数は多く
あらゆる年齢で 性差を問わず起こります

同じ骨密度でも
ステロイド使用者は
非使用者よりも骨折のリスクが高く

骨折リスクは 
投与されたステロイドの用量依存性で
総投与量よりも現在投与量が相関します


骨量減少量は
最初の数か月で8〜12% 
その後が2〜4%/年で

高投与量では
特に骨密度の低下が著しい傾向があります


始めに 
骨の内部の海綿骨の骨量・骨質が低下し
椎体圧迫骨折を起こし

のちに
外側の皮質骨にも影響が出て
大腿骨頸部骨折や転子部骨折を起こします


@病態

骨粗鬆症とステロイド性骨粗鬆症は
病態が異なると考えられています

ステロイド性骨粗鬆症では
骨細胞と骨芽細胞のアポトーシスが主な病態
それにより骨形成が抑制され 骨量が低下し
コラーゲン 非コラーゲンタンパクの産生抑制により
骨質も低下します

また 転写因子Runx2が抑制され
骨芽細胞の分化が阻害されます


ステロイド性骨粗鬆症の病態をまとめた図

@予防と治療

ステロイド性骨粗鬆症の予防 治療において
何よりも大切なことは

全身性ステロイドの使用量 使用期間を
できるだけ少なくすることです

局所ステロイドや免疫抑制薬を用いるなどして
全身性ステロイドの使用量を減らせないか
常に考えることが必要です

何mgまでのステロイド量であれば
骨密度を減らさない 骨折率を上げない
というような安全域はないため

全身性ステロイドを
3ヶ月以上使う見込みのある人全員に
生活指導をするように推奨されています

生活指導をした上で
個々の骨折危険因子
(既存骨折 年齢 腰椎骨密度 1日ステロイド投与量)を
スコアで評価して

3点以上だと 薬物治療
3点未満だと
同じスコアを用いた骨折リスクの定期的な評価

が それぞれ推奨されています

ステロイド性骨粗鬆症の治療のガイドライン

薬物治療

第1選択薬として
第2 第3世代のビスホスホネートの
アレンドロネート リセドロネートが
推奨されていますが

比較的リスクが高い
ステロイド性骨粗鬆症においては

遺伝子組み換え型副甲状腺ホルモン薬の
テリパラチド
アレンドロネートよりも 
腰椎骨密度をあげることが示されており
新規圧迫骨折を防ぐ可能性が示唆されています

高橋医院