星をめぐる物語
なぜ 人はそこに行くのか? 非日常の時空間を楽しむため なるほど 確かにそうかもしれませんね NHK・BSの世界のドキュメンタリーで ミシュラン 星をめぐる物語 を放送していました 読み手の皆さんもよくご存知の ミシュラン・レストランガイドは 今や 世界で最も権威がある レストランガイドとされ 1900年の創刊以来 120年で世界23か国で 出版されるようになりました 日本でも このところ知名度はうなぎのぼりで 年末の星付け発表会の模様は 多くのマスコミで報道されています 星1つのレストランは 世界で2359店あり そのカテゴリーで特に美味しい とされます 星2つは 375店 遠回りしてでも訪れる価値がある 星3つは 119店 そのために旅行する価値がある 3星のお店 料理は ユニークさがあり 訪れたお客さんに 生まれて初めて食べるという思いをさせる店 だそうで で その判断基準はというと *食材の品質 *調理技術の高さ *味のバランス ハーモニー *味の安定性 季節を問わず常に同じレベルが保たれている *オリジナリティ シェフの個性 *コストパフォーマンス *料理の見た目の美しさ などで 世界中の美食都市で 1日に何回もフルコースを食べる 不健康な生活をしている(?:笑) 食のプロである覆面調査員が 日夜隠密で調査を行い 年に数回ミーティングをして 評価の見直しをしているそうです このガイドブックが生まれた経緯ですが 1900年 フランスのタイヤ会社のミシュランが 人々に遠出のドライブをさせて タイヤを消費させるために 地方のレストラン ホテルの紹介を 始めたのが途端です ですから 今でもグルメ評論家の一部は タイヤの売り上げ戦略の一環ではないか? タイヤの売上高と発行部数は 密接な相関がありそうだ タイヤ市場のポテンシャルを上げたい思惑との 絡みがあるのでは? といった懐疑を呈しています トータルの星の数が多いのは フランス 日本 イタリア ドイツ スペインで オーストリアでは 撤退したそうです タイヤ 売れなかったのかな?(笑) 北欧版 リオ サンパウロ シンガポール も新しく始まり ペルー メキシコ ボリビア ベネズエラ などがこれからの候補となっています 興味深いのは シェフたちはこうした現象を どのように見ているか ということ 番組では 星を獲得している世界各地の お店の名高いシェフらが 取材されていました ミシュランの星が意味するものは *勝利 成功 ひたむきな努力の証し *絶対的なお墨付き *三つ星は 料理人の夢 憧れ といった意見が多い 一方で ミシュランに気に入られるのは良いが そのために仕事をするわけではない もちろん気にはなるが 世間の人は評論家気取りで ちょっと癪に障る 判断基準が いまひとつはっきりしないので 評価のプロセスをよく知りたい 無条件に従う気はないが 努力目標にはなる 星が減ると 落ち込む といった 正直な意見も聞かれました 売り上げ と ミシュランの3つ星 を確保・維持して その土台の上に自らの料理を進化させたい という 優等生なコメントもありました ただ 料理評論家さんに言わせると ミシュランは シェフにとって恐れるべき存在であることは 間違いなく ミシュランの悪口は決して言わない そうです やっぱり 影響力は大きいのでしょうね シェフやスタッフには 大きなストレスがかかり 星に絡んでの シェフの自殺がとても多い という報告もありました 確かに フランスで星が落ちたレストランの有名シェフが 悲観して自殺された といったニュースを見聞きして 驚いたことがあります 星がひとつ減っただけで 自殺までされてしまうのですね、、、 番組では シェフたちが 食への理想も語っていました 食材を演出して あらゆる味 食感を引き出したい 全身全霊をかけて 食材を表現したい 料理だけでなく 背景にある食文化も味わってほしい よりシンプル よりミニマミズムへ 少ない方が豊かだと思う 東京にある ふたつ星店のオーナーシェフさんは 30~50年後を見据えて 日本独自の 自然と人の共存 人間を自然の一部と考える 里山文化の継承を目指したい と語っておられました 番組の最後には これからのガストロノミーは グローバル化の波に抗して 地産地消へと進むべきで シェフは 自分の利益だけでなく 地域社会に責任を持つべきである という意見が示されていたのが とても印象的でした では ミシュラン星なレストランとは何か? それは 非日常の世界を体験する場所 贅沢なレストランは 日常生活からのつかの間の逃避の場で 皿の上のアートを 存分に楽しむところである その意見には 同意です!
高橋医院