動脈硬化の程度を評価するには

*エコー CT MRIなどの画像検査を用いて
 血管内の状態を直接観察する方法

*血管の機能を検査する方法

の2種類があります


<画像による評価>

@頸動脈エコー

動脈硬化度を直接観察することができるので
非常に有用です

頸動脈エコー検査の実際

脳内動脈や冠状動脈に対する代替検査として
広く臨床応用されており
簡便かつ非侵襲的で
動脈硬化を疑う患者さんには推奨される検査法です

評価は

・内・中膜複合体厚
 IMT:intima-media thickness
 1.1mm以上を肥厚とする

・プラークの有無

により行われます


動脈硬化は急速に進行するものではないので
半年~1年に1回の検査が勧められます

血栓 表面不整や潰瘍を形成したプラーク 
可動性プラークを観察した場合は
もっと短期間での再検査が必要となります


*IMT

全身の動脈硬化の程度の反映するもので
プラークがない場合の動脈硬化の評価因子となり
動脈硬化性疾患(冠動脈疾患 脳梗塞)の合併
発症リスク予想の代替評価因子です

IMTを示した図
IMTの計測法

高値の状態は プラーク出現の基礎病態となります

*プラーク

存在すれば IMTより強い疾病予測因子となります

エコー検査で見える血管内プラーク

1.5mm超のプラークが存在する場合は
脆弱性の有無などの脳塞栓危険因子の評価も
行う必要があります

*狭窄

70%以上の高度狭窄では
頸動脈ステント留置などの外科的処置も
考慮する必要があります

血管内の狭窄部の画像


@下肢動脈エコー

プラーク性状 狭窄度を評価します


@CT MRI カテーテル検査など

*石灰化の評価

*狭窄部の評価

などを行います


<血管機能検査による評価>

@足関節上腕血圧比 ABI

上腕動脈の血圧と足関節レベルの
血圧の比率を測定し
足関節より中枢の主幹動脈の
狭窄 閉塞性病変の存在を評価します

ABIを行っている様子
ABIの説明図

通常は
腕の血圧に比べ足の血圧は高い値を示しますから
ABIが低値の場合は
心臓から足に向かう動脈の狭窄が疑われます

ABI検査の異常値 正常値


@脈波伝導速度 baPWV

ABIと同時に行える検査で
心拍出により生ずる動脈の脈動が
末梢に伝わる速度である
動脈波伝搬速度(PWV)を計測し
動脈硬化の程度を評価します

脈波伝導速度を解説した図
脈波伝導速度値と動脈硬化の程度の関係を示した図

動脈の硬さ 肥厚は評価できますが
閉塞の程度は反映されません

加齢 高血圧 糖尿病 脈拍数により上昇します

低リスク群のリスク予測に有用とされています

@CAVI

PWVを改良したもので
心臓から足首までの動脈の硬さを評価できます

CAVIの説明図""

動脈硬化が進行するほどCAVI値は高くなりますが
血管狭窄が高度になると脈波が伝播されにくくなり
CAVIは低値になるため
上記のABIの結果と総合的に判断します

CABI ABIの結果の解釈を説明する図

@血管内皮機能検査 FMD

5分間の前腕駆血などを行った際の
反応性充血による血管内皮依存性血流増加反応
エコーで動脈血管径を測定して評価します

FMDの説明図

通常は駆血により 6~7%は増加します

FMD検査を行っている様子

血管内皮が障害されると
内皮細胞からの血管を拡張させるNOの産生が悪くなり
FMDは低くなります

動脈硬化の初期より低下するので
初期評価に有用とされています

動脈硬化の進行度に応じた検査の説明


以上に示したように 各検査法で
評価できる動脈硬化の進展段階が異なります

動脈硬化の進行度により適した検査が選択されることを示す図

動脈硬化が心配な方は
どのような検査を受けた方が良いか
主治医と相談されてください


高橋医院