生活習慣病は自己責任?
今年3月の朝日新聞に 「生活習慣病は自己責任か?」 というかなりキャッチーな(笑) タイトルの記事が連載されていました 興味深く読んだので 紹介しようと思います <生活習慣病は自己責任と主張する経産省> 記事ではまず 現在 経産省が主導する形で 展開しようとしている 新たな社会保障政策について紹介します 国は「予防」を推進して 医療費を抑制する政策を進めようとして 経済産業省主導で 「明るい社会保障」 というスローガンを掲げています 政策の主なターゲットは 糖尿病などの生活習慣病です 背景には 「個々人の生活習慣が 原因でなる病気なのだから 個々人の努力で予防できるはず」 という考え方があります 経産省で旗を振っている役人さんは 医療費の約3割を占める 糖尿病やがんなどの生活習慣病は 「本来予防が可能」で 「主として患者自身の 自己管理に原因がある」 と強く主張します 今の医療保険制度だと 個人が健康管理に努めていようが 不摂生な生活をしていようが 病気になれば全く同じ負担で 治療を受けることができるので 「不摂生は得ということ? これは生活習慣病を容認する制度だ」 と評します 生活習慣病の原因は 自分自身の生活習慣にあるのだから 「健康管理などする気はないけど 病気になったら その費用は公的保険で払って欲しい」 というスタンスはいかがなものか? とまで言います 麻生副総理が 「自分で飲み倒して 運動も全然しねえで 糖尿も全然無視している人の医療費を 健康に努力しているオレが払うのは あほらしい やってられん と言った先輩がいた」 と語って 物議をかもしたことがありましたが まさにそうしたアイデアに則った考え方と 言えるでしょう 読み手の皆さんは 経産省のこうした考え方を どのように思われますか? 書き手は 最初に麻生さんの発言を聞いた時には 正直言って 「あながち間違いではないかも?」 と思いました だって 糖尿病や生活習慣病の患者さんと 一生懸命 一緒に考えて 太らないような対策を練っても それをほとんど実行されず 悪くなる一方の患者さんも 少なからずおられるのですよ でも ことはそんなに単純ではありません というのがこの記事の趣旨でして それはおいおい説明します <生活習慣病の予防により 増え続ける医療費を削減したい> 経産省は 生活習慣病の発症を予 防により阻止できれば 増え続ける一方で 国家財政上の大問題となっている医療費の 削減ができると主張します 長生きすれば 多くの人が慢性疾患にかかり いずれ医療介護費は確実にかかる 予防は そのタイミングを 先送りしているだけで 健康寿命は延びる可能性はあっても 医療費は削減できない という 従来から言われている 医療経済学の常識に 真っ向から挑戦しているわけです 現在 不摂生な生活を送っている人が 「健康保険丸」に どんどん飛び乗っているので 遠からず「健康保険丸」は 沈没してしまう まずはこの状況を なんとかしたい 大切なのは これから船に乗ろうとする人を 減らすこと 特に若い頃から 健康管理をしやすい環境を整え 高齢になっても 最期まで自由と役割を持ち続けることで 結果的に「健康保険丸」の 浮力が戻る社会にしたい 新たな政策を展開しようとする 経産省の狙いは そうしたことです では その政策では 具体的にどのようなことが 試みられるのでしょう?
高橋医院