マルクス・ガブリエルの
日本滞在ドキュメンタリー番組の続き

マルクスは 
ロボット工学について自説を述べたあとに
自然科学について語ります

自然科学について語るガブリエル

モノを考え 書くとき 一貫して
全ての現象を
自然科学でのみ説明しようとする
自然主義に反対している

自然科学は 
最高の知識のひとつだが
あくまでもひとつの知識に過ぎない

自然主義は
アメリカ軍国主義のイデオロギーでもある

冷戦時代は
これでソ連の唯物論に対抗したけれど
アメリカもソ連も現実を捉え損ねた

これが21世紀最大の問題である


世界に共通して言えることだが
国家権力に近づく人は 
自然主義者だ

自然主義は 
ただのイデオロギーに過ぎない

これは 
私たちの時代の
いちばん危険な知的な病なのだ

私たちが戦うべき敵は 
これなのである

地球環境の問題などは 
科学でしか解決できないけれど

民主主義の問題は 
哲学でしか解決できない

自然科学を批判するガブリエル
おお あまりにストレートな 
自然科学万能主義に対する
批判ですね!(笑)

書き手が専門とする医学も 
一応は自然科学に属していますが

その領域から一歩離れた目で観ると
自然主義はイデオロギーだ
という主張には 
共感できるところがあります

でも 
それがアメリカ軍国主義の
イデオロギーだとか
国家権力に近づく人は自然主義者だ 
というアイデアは
ちょっとびっくりですね(笑)

いずれにせよ
気鋭の哲学者が 
哲学と自然科学の関係を
どのように捉えているのか
しっかりと解りました


ちなみに 
少し趣が変わりますが

彼は恋愛について 
こんな風に語っています
恋愛について語るガブリエル

恋は 
探していない時にしか見つからない
だから 
フォーリンラブ 恋に落ちる

自由な人だけが 
恋に落ちることができる

物事には 
絶対的な無意味さもなければ 
絶対的な意味もない

それを知れば 
人は自由になれるし 
恋愛を楽しめる

彼は奥さんと 
香港で偶然に出会ったそうです!


さて マルクスは
昨今流行りの 
「ポスト・トルース 真実なんてない」
という考え方にも言及します

ポスト・トルースについて語るガブリエル
「存在」と「真実」は
区別すべきだ

現代の情報社会は 
ポスト真実 でなく 
モア真実 だ

残念ながら 
モア真実における真実の多くは
間違っている

ネット社会では 
誤った信念をもとにした情報が増殖して

それにより人々は
間違った信念を持つようになっている

だから 
そのようなネット状況を
改善しなければならない

ネット状況を批判するガブリエル
はい 書き手もそう思います

当院に来られる患者さんたちも
ネット社会の“モア真実”に
振り回されている方が少なくありません

マルクスは
社会や政府が 
野放し状態のネット言論に規制をかけるべきだ
と真剣に論じています

書き手は 
人々がネット情報を見る目を鍛えることが
大切だと思いますが

うーん 過度な規制については 
どうなのかな?

現状や問題点はよくわかりますが
具体的な対処の方法は 
なかなか難しい気もします


高橋医院