ダイエットの科学でも 
これまで紹介した本で軒並み述べられていた
カロリー制限神話を論破されます


@カロリーの量でなく栄養素の質が問題

食物からの摂取カロリーを 
体内での消費カロリーより少なくすれば
痩せられるという
カロリー制限ダイエット法を信じている人は 
世の中に多い

カロリー制限ダイエット法について解説した図


しかし
カロリー制限ダイエットを実際に行うと
多くの場合は 
減量とリバウンドの繰り返しで
結果的には最初より太ってしまう

また 
食べる量を減らして運動すれば痩せる
それができないのは
意志が弱いから
という神話は
医学界ですら数十年間も信じられてきた


ヒトの体では 
進化で獲得したプログラムに従い
カロリー摂取が減ると脂肪を減らすまいという
生理的な反応が起きてしまう

これまで何度も紹介した
セットポイント・セオリーです

こうして 
カロリー制限ダイエットは失敗する

カロリー制限ダイエット法は失敗することを示す図
そもそも
カロリーは全て同じではなく

同じカロリーでも
食物の質 内容により 
代謝や肥満への影響は大きく異なる

たとえば
ファストフードの2000kcalと 
全粒粉 フルーツ 野菜の2000kcalは
同じ2000kcalでも
体内で起こす脂肪蓄積などへの反応が
全く異なるから
カロリーの量より質にこだわらないといけない

これまで紹介した本でも指摘されてきた
食物の質の重要性ですね

「食物の質」の重要性を強調する図

さらに 
食物からエネルギーを生み出すプロセスは
食物源 咀嚼回数 
消化吸収のしやすさ 食べ合わせ 
などでも大きく異なるので
それらの点にも注意が必要だ


@運動だけではやせない

一方 運動だけで
体重を減らそうとしても効果はない

運動療法を頑張る肥満の人

体が運動による体重減少に反応し
上述した脂肪を減らさないプログラムを起動し
代謝率を低下させる

そもそも脂肪を減らすには
筋肉を減らすのに必要な量の
5倍のエネルギー消費が必要だから
無理なダイエットをして
無茶な運動をしたら
脂肪は減らずに筋肉だけ落ちてしまう

運動は健康維持には効果があるが
こと減量に関しては単独では効果がない


いずれも 
これまでの本でも 
繰り返し述べられてきたことですが

これだけおしなべて強調されるということは

まさにこれらの点が
「信じられてきた誤ったダイエットの神話」
の本質なのですね


@遺伝の関与

また著者は 遺伝学の専門家らしく
肥満への遺伝の関与についても言及します


エネルギー消費 脂肪蓄積 体重増加などに関する
個人差の70%は遺伝的要因で説明できる

また 食事習慣 運動の頻度にも 
遺伝的が大きく影響する

実際に 
安くてカロリーの高い食物に溢れた環境下でも
太らない人は1/3はいて
そうした人たちは
幸運な遺伝的要因を有しているといえる

しかし個人差の残りの30%は
環境的要因で規定されるのだから
生活習慣の改善を
ないがしろにして良いわけがない

はい
全てが遺伝で決まるわけではありません

肥満には遺伝と環境の両方の要因が関わることを説明する図




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