この本でも
これまで紹介した本で述べられていた
栄養の質」について語られます


<脂質ワルモノ神話の崩壊>

脂肪が全て悪いというのは 
20世紀に間違って作られた話にすぎない

そもそも 肥満を解決するには

*食べる量を減らして運動する

*何か1種類の食物を食べないようにする

のどちらかをすればいいというは 
根本的に間違った信仰である


小気味よい批判ですね(笑)


1970年代のアメリカでは
コレステロールは
心血管病の原因となるワルモノという
いい加減な科学的根拠に基づくコンセプトが出て
「脂質制限」という食事療法が開始された

1970年代に出された脂質制限を勧めるレポート

これにより
食物の多様性が減り 
多くの栄養素が摂取できなくなった

脂質の摂取量を減らせば良い
という“常識”には 
そもそも科学的根拠がなく

その後の検討により

*食事で摂取した飽和脂肪酸の量と 
 心血管イベント発症率の相関はない

*チーズは飽和脂肪酸を多く含むが 
 心血管イベントの保護作用がある

ことなどが明らかにされ 
飽和脂肪酸はワルモノではないことが証明された

飽和脂肪酸はワルモノではないことを明らかにするポスター



また脂質異常症の治療薬の
スタチンを服用すると
心血管イベントが減少するが

最近その効果は
スタチンのコレステロール減少作用でなく 
抗炎症作用によるとの推察もある


脂質ワルモノ説は
どの本でも共通して指摘されていて

カロリー制限と並ぶ
「信じられてきた誤ったダイエットの神話」
の本質のようです


<栄養の質が大切>

カロリーの「量」ではなく「質」が大切
脂質はワルモノではない

ということで 
タンパク質 糖質の質的な考察がなされます


@タンパク質

タンパク質は 
エネルギーへの変換効率が
脂質や糖質に比べて悪いので
摂取すると消化・代謝のために
体内でより多くのカロリーを消費する

また 食後の満腹感が大きい

タンパク質は食後の満腹感が大きいことを説明する図

さらに 
高タンパク・低糖質ダイエットを行うと
減量後の
セットポイントへの回帰によるリバウンドが
少ないことが明らかにされている

さらに 肉には
ビタミンB12 亜鉛 鉄などの
必須栄養素が多く含まれていて
しかも これらの栄養素の多くは
肉の中の脂肪の多い部分に含まれている

肉には必須栄養素が多く含まれていることを示す図

こうした点から 
タンパク質は 質の良い栄養素と言える

しかし 加工食品は避けた方が良い


@炭水化物 糖質

脂肪はワルモノ説により
脂質制限食が流行したことにより
摂取量が増えたのが
糖質を含む炭水化物で

その結果
肥満が増え 糖尿病が増え 
生活習慣病が増えた

糖質摂取の増加で肥満が増えたことを示すグラフ

砂糖を好む傾向と肥満傾向はパラレルで
ある程度遺伝的に規定されている

また 工業化の進歩により 
砂糖はどんどん安くなっていて
現代人が摂取している砂糖の量は
過去最大で20倍以上増加している

果糖を多く含むソフトドリンクのカロリーが
全体の20%を占める

ソフトドリンクに多くの果糖が含有されていることを示す写真

加工食品の65~75%には
砂糖が添加されている

また果糖は 既に紹介されたように
全て肝臓に送られて
脂質に変換され脂肪肝を作り
食欲を制御するシグナルが
脳に送られるのを妨いでしまう

こうした点から 
糖質は 質の悪い栄養素と言える

糖質は質の悪い栄養素であることをアピールするポスター

やはり糖質はワルモノ扱いされていることが
明らかになりました

高橋医院