女性の病気の特徴と罹りやすい病気
男性と女性では 平均年齢 かかりやすい病気 死因の種類 などが異なります <平均年齢> 女性は男性より長寿です *2007年の平均寿命は 女性で85.99才 男性で79.19才 でその差は約7年 *1947年には男性50才 女性54才だったので 寿命の延長とともに その差は広がっている *自立して生活できる期間を指す健康寿命の差は 寿命の差より小さく4年程度 寿命に男女差が確認されたのは 20世紀の初めからで 1970~80年代には格差が拡大し その後は少しずつ縮まり始めています この差異の理由は さまざま推察されています 生物学的要因としては 性ホルモンの違い 遺伝時特徴の違い が指摘されています 一方 社会的要因ですが *女の赤ちゃんの方が 苛酷な社会環境に耐えられる *同じ社会的環境下で暮らしている 修道女と修道士を比べても 修道女の方が 平均2.5年長生きする といった事実から 社会的要因の影響は少ないのでは? と推察する人もいます しかし最近は 女性の方が *頻繁に医療機関に通い *アルコールを控え *野菜を多く食べ *喫煙率も低い ことが明らかにされています 男女別 年齢別の飲酒者の割合 男女別 年齢別の喫煙者の割合 実際に当院に 健診結果の相談に来られる患者さんをみていると 女性は自らすすんで来られる方が多いけれど 男性は会社の保健室などに促されて 仕方なく来られる方が少なくありません こうした 自分の健康に対する意識の差も 生活習慣病などの発症や その結果としての平均寿命の差異に 影響を及ぼしている可能性があるかもしれません <自覚症状の性差> @女性に多く認められる自覚症状は *足のむくみ だるさ 2.9倍 *めまい 2.5倍 *頭痛 2.4倍 *便秘 2.4倍 *手足の冷え 2.4倍 *肩こり 2.1倍 などがあります @男性で多く認められる自覚症状は *排尿困難 排尿時痛 2.2倍 *痔の痛み 1.4倍 *下痢 1.3倍 *頻尿 1.3倍 などがあります <疾患の発症の性差> @男性で多く発症する病気 生活習慣病が多いのが特徴で *痛風 *アルコール性肝炎 *膀胱癌 *心筋梗塞 *肝癌 *尿路結石 *慢性閉塞性肺疾患 肺癌 *胃癌 などが多い @女性で多く発症する病気 生活習慣病は少なく 仕方なくかかってしまう病気が多いのが特徴です *骨粗鬆症 *甲状腺疾患 *色素沈着 *膀胱炎 *全身性エリテマトーデス シェーグレン症候群 慢性関節リウマチなどの膠原病 *貧血 *自律神経失調症 *胆石症 *便秘症 *気分障害などの精神疾患 *低血圧症 *冷え性 *胃下垂 *膀胱炎 *アルコール依存症 *閉経後の糖尿病 高脂血症 高血圧症 虚血性心疾患に代表される動脈硬化性疾患 *アルツハイマー型認知症 <死因とQOLに支障をきたす病気の性差> @死因 *男性の死因は 悪性新生物(癌)の割合が高い *女性では 心疾患 脳血管疾患などの動脈硬化性疾患の割合が高い @生活に支障をきたす病気 要介護状態となる基礎疾患 *男性は 脳血管障害が50%以上で最も多い *女性は 脳血管障害は25%程度で 認知症と骨粗鬆症による骨折が各20%など 多岐にわたります 女性では 要介護者も多く 介護保険受給者の70%ほどは女性です @原因としてのエストロゲン分泌の減少 こうした性差 特に女性で動脈硬化性疾患が増える原因として あとで詳しく説明しますが 女性ホルモンのエストロゲンの分泌が 閉経により急激に減少することが考えられます エストロゲンの減少は 動脈硬化性疾患のみならず 骨粗鬆症の発症にも関与すると考えられていて それらの疾患は 閉経後に急に高頻度に発症してくるようになります
高橋医院