脳梗塞の症状とTIA
今日は 脳梗塞の症状について解説します <脳梗塞の発症を疑わせる症状> 脳梗塞の発症を疑わせる症状は 下記のようなものがあります *激しい頭痛 *めまい 吐き気 *実際に吐く *体の半分がしびれる 思うように動かない *急に手の力が抜けてものを落とす *足がもつれて まっすぐに歩けない *ろれつがまわらない 言葉が出ない *人のいうことが一時的に理解できない *口から水 食べ物がこぼれる *よだれが垂れる *食べ物が一時的に飲みこめない *視野が半分欠ける ものが二重に見える *意識がもうろうとしている これらの症状の一部が 5~15分の短時間だけ認められるとあやしいです <FASチェック> 脳梗塞の可能性を自己判断するチェック方法です @Face イー と言いながら口を横に開こうとすると 左右どちらかの表情がゆがむ @Arm 目を閉じて両腕を上にあげようとすると どちらかの腕が上がらない @Speech 短い文章を声に出して滑らかに話せない これらのひとつでも該当すると 脳卒中の可能性が70%あるとされますので なんとなく体調が悪く FASチェックで該当する方は すぐに医療機関を受診してください
できるだけ早く! 時間との勝負です! FASにT(Time)が加わり まさに「FAST!」と言われています 何時何分に発症したか それからどれくらい時間がたっているかが ポイントになりますので 医師にそのことを伝えてください <脳内の病変部位による症状の差異> @大脳皮質に病変が起こると 半身の運動障害や感覚障害 言葉が出てこない 人の言うことが理解できないなどの失語症 が生じてきます @脳幹部や小脳に病変が起こると 物が二重に見える フラフラする めまいがする といった症状が起こります <一過性脳虚血発作 TIA> @TIAとは? 一時的な脳卒中で 脳梗塞の前触れと考えられ 脳梗塞の患者さんの約3割で出現します 急に 片方の手足が動かない ろれつが回らなくなる 片目だけ見えにくくなる といった 脳梗塞と同じような症状が出現します TIA は 血栓が小さく 詰まってもすぐに溶けるため 短い時間内に症状がとれ 多くは10〜15分 長くても24時間以内に 完全に症状がなくなります 原因も脳梗塞と同じで 3種類に分かれ ラクナTIAは 約25% アテローム血栓TIAは 約15% 心原性TIAは 約15%で 残りの約40%は 塞栓源や原因が不明です @TIAが意味すること TIA が起こるということは 脳動脈の狭窄が存在し 次には大きい血栓がはがれる可能性を示唆します 放っておくと 数年以内に本格的な脳梗塞が起こりやすくなります TIA を経験したあとに脳梗塞になった人は 24~48時間後以内に発症することが多く 90日以内の発症危険度は15~20%で 半数は1年以内に脳梗塞が起こっています つまり 脳梗塞の危険が切迫している警告であり 早期受診 治療が必要な合図です 本格的な脳梗塞の発症予防のための治療を 直ちに開始すべきです @TIAのリスク評価 *60歳以上 *高血圧で140/90mmHg以上 *糖尿病がある *片麻痺 言語障害がある (特に片麻痺は危険なので2点) *持続時間が10分以上 (特に60分以上の持続は危険なので2点) 以上の項目でリスクを評価し 4点以上の場合は速やかに治療すべきです また CTなどの画像検査で 多発病変 主幹脳動脈病変がある場合も リスクが高いとされます @治療 20日以内に治療を受ければ 90日以内の発症率は80%軽減されます まず原因を明らかにし 48時間以内の急性期には アスピリン投与を行います これにより 6週以内の再発を60%低下させ 後遺症 致死的脳梗塞の発症を 70%減少させることができます 急性期以降の治療は 脳梗塞の再発予防治療に準じます
高橋医院