発症してしまった脳梗塞の
再発を防ぐための2次予防について説明します

<脳梗塞は再発しやすい>

脳梗塞は 再発リスクがとても高い病気

再発率は
1年以内で約10% 
5年以内で約30%
とされ

発症後1ヵ月以内の再発が特に多いのが特徴です

発症後1ヵ月以内の再発が特に多いことを示すグラフ


再発は ほとんどは別の部位に起こり

繰り返す再発により
予後は悪くなり 
後遺症も増え生活の質が悪化します


再発を防ぐためには
生活習慣病などの危険因子の管理が重要で
渋滞な危険因子である病気のコントロールが
特に重要になります


<高血圧>

血圧のコントロールが悪いと再発率が増加し

特にラクナ梗塞では 
再発率の血圧依存性が高いです


血圧が10mmHg下がると 
再発は28%減少するとされ

拡張期血圧が75mmHg未満では 
再発は起こりにくいことが明らかです

血圧のコントロールが悪いと再発率が増加することを示すグラフ


管理目標は 140/90mmHg未満です

ラクナ梗塞 脳出血 くも膜下出血では 
130/80mmHg未満

75歳以上 
両側頸動脈の70%以上狭窄 脳主幹動脈閉塞では
下げ過ぎに注意が必要です


<糖尿病>

糖尿病患者さんの 脳梗塞再発率は高いです

ピオグリタゾンにより 再発を47%減少させる
という報告がありますが

積極的な血糖コントロールは
再発予防には積極的に関与しないというデータもあります


むしろ血糖単独のコントロールより
併存する高血圧の管理を合わせて行うことが有効で

血糖と血圧の管理が重要なことを示すグラフ

HbA1cを6.5以下 
血圧を130/80mmHg以下にすると
再発率は59%減少できると報告されています


<脂質異常症>

高容量のスタチンが再発予防に有用で
再発率を16~22%低下させると
報告されています

また 低用量のスタチンとEPAの併用が有用で
再発率を20%抑制するとの成果が 
日本から発信されています

低用量のスタチンとEPAの併用の有用性を示すグラフ
管理目標値は 以下の通りです

*LDL-C 120mg/dl未満

*HDL-C 40mg/dl以上

*中性脂肪 150mg/dl未満


<生活習慣上の注意>

悪い生活習慣は 再発に悪影響を及ぼします

@禁煙 節酒 減量

喫煙は
血圧を上げ ニコチンが動脈硬化を進め
一酸化炭素を吸い込むことで
赤血球が増えて 血液がドロドロになる

ですから 禁煙は必須です

また 1日に2合以上の大量飲酒は
脳卒中による死亡を高めるので
節酒を心掛けるべきです

肥満は 危険因子の高血圧 糖尿病の原因なので
減量は大切です

禁煙 節酒 減量の重要性を示す図

@食生活での注意

日々の食生活でのリスクは

*食塩の過剰摂取

*カリウム カルシウムの摂取不足

*ビタミンCの摂取不足

*朝食を食べない

といったことです

食生活での注意をまとめた図
高血圧の予防のポイントは減塩で
塩分を1日7g以下に控えることは必須です

高脂血症の予防については
これまでも幾度となく説明してきましたが
肉やバターなどの飽和脂肪酸を減らし
EPAやDHAを多く含むイワシやサバなど
良質な不飽和脂肪酸を摂り動脈硬化を防ぐことが大切です

野菜 きのこ類 海草類 イモ類などの食物繊維や
大豆製品の植物性タンパク質は
LDLコレステロールを減らすので積極的に摂りましょう


<薬を飲み続けること>

症状が落ち着いて 日々の生活が安定してくると
喉元過ぎるとなんとやらで

自己判断で 
通院しなくなったり 
薬の服用を止める人が少なくなく 
その数は20~25%にも及ぶと言われています

しかし薬の服用を止めると 
再発率が約3倍も上昇します

再発予防のために
薬を飲んでいることを良く自覚して
薬を継続して飲み続けて

減らしたり 止めたくなったら
遠慮せずに主治医と相談してください

服薬の継続の重要性を示す図
高橋医院