昨日に続いて 脳梗塞の後遺症の解説です


@言語障害

言葉が上手くしゃべれなかったり 
理解することができません

*構音障害
 口の周囲がマヒして スムーズに話せなくなります

*失語症
 大脳の言語中枢が障害されると起こり 
 言葉の理解ができなくなります

言語障害について説明する図

左半球の障害で起こることが多く
話す 聞いて理解する 書く 読んで理解する 
といった行動がダメになります


@視野障害

視野が狭くなる 
半分が欠ける
ものが二重に見える

といった症状が起こります

視野障害について説明する図

大脳の後ろ側が障害されると起こります


@嚥下障害

食物 飲み物を
上手く飲みこめなくなる後遺症で
再発例で高頻度に見られます

嚥下障害について説明する図

誤飲による誤嚥性肺炎を
起こしやすいのが大きな問題で
脳梗塞発症後1年以内の死亡の1/4~1/5は
誤嚥性肺炎によるものです

誤嚥性肺炎について説明する図
嚥下障害の危険性を喚起するポスター

シンメトリル ACE阻害剤といった薬剤や
口腔ケアが予防に有効とする報告があります


@排尿障害

尿意を感じない 失禁する 尿が出ない 頻尿
といった症状が残ります


@けいれん てんかん

起こる頻度は3~13%あまりで
塞栓による大脳皮質病変で多く生じます

脳梗塞発症2週後以降に出現してくると
そののち 高率に
てんかんに移行してしまいます


@認知症

脳梗塞発症1年以内に 
2~4割で発症してきます

脳梗塞と認知症の関連を示す図表


@感情障害

*イライラする 怒りっぽくなる 物事に固執する

*意欲の低下

*ちょっとしたことで 
 泣いたり 笑ったり おびえたりする感情失禁

といった症状が起きてきます


@うつ 意欲・自発性の低下

18~62%でうつを発症し
大うつが23~34%
小うつが14~26%
と報告されています


<リハビリ>

@リハビリの目的

*病気により低下した機能を回復させ維持する

*寝たきりにならないようにする

ことです

リハビリについて説明する図

ADL 日常生活動作を回復する
QOL 生活の質を高める
装具 自助具を上手く使えるようにする

ことを具体的な目標とします

リハビリの具体的な目標を示す図


@リハビリは早期から開始し 一生続く

発症後
できるだけ早期からリハビリを開始することが大切です

急性期を乗り越えたあと
回復期 維持期に長く頑張らないといけません

回復期 維持期のリハビリについて説明する図

辛いですが リハビリは一生ものなので頑張りましょう

理学療法士・PT 作業療法士・OT 臨床心理士・CP
医療ソーシャルワーカー ケアマネージャー
など
それぞれの専門家によるチームで行われ
こうした方たちが実際に患者さんと接してお手伝いします

運動機能だけでなく
嚥下 言語などの専門的なリハビリもあります


@リハビリによる症状の回復

3ヶ月くらいまでは急速に進み
その後はゆっくりしたペースになり
半年から1年で ほぼ固定化します

しかしその時点でリハビリを中止すると
機能が再び低下してしまうので
維持のためにリハビリを継続して行うことが大切です

リハビリの回復 維持について説明する図
高橋医院