脳出血の症状と治療
脳出血の症状と治療について説明します <出血部位による症状の違い> @被殻 全体の40%で一番多く 頭痛 意識低下で見つかることが多いです 症状は軽く済みますが 基底核部の内包の運動神経集束部位が障害されると マヒが起こります 死亡率は高くありません @視床 全体の約30%で 視床だけなら しびれくらいの症状ですみますが 基底核部の内包の運動神経集束部位が障害されると マヒが起こります 脳室内出血を起こすことがあり 死亡率は高いです ほとんどの場合 高度のしびれ 痛み マヒなどの後遺症が残ります @皮質下 約10%で 大脳皮質の表面のすぐ下で起こり 症状が軽く 予後も良いことが多いです @脳幹部 約5%で 意識障害 呼吸障害 両方の眼球が一方に偏る 四肢マヒ などが起こります 発作後数分で昏睡状態になり 数時間で死亡することもあり 予後はとても悪いです @小脳 約5%で めまい 嘔吐 激しい頭痛 起立障害 歩行障害 意識障害など フラフラして真直ぐ歩けなくなる といった症状を認めますが 片マヒは起きません <脳ヘルニア> 脳出血で生じる 最も重篤な状態です 脳出血により脳内で生じた血腫により 周囲の脳が圧迫されて 脳の機能が著しく低下する病態です 脳浮腫 頭蓋内圧亢進により 膨張した脳が下方反対側へ押し出されて 脳ヘルニアが起きてしまいます 脳幹部に鈎ヘルニアが起こると 脳幹部が圧迫されて 致死的になることが多いです <診断> 高血圧の有無 コントロールの程度を確認し CT検査で出血部位が白く映るか否か チェックします 混迷 昏睡のように意識レベルが低い場合は 脳ヘルニアが起きているリスクがあります <治療> @内科的治療 直径3cm以下の血腫の場合は まず内科的治療を行います 高血圧の管理 脳浮腫 頭蓋内圧亢進の改善 けいれんの抑制 などが 主たる治療になります @手術治療 頭蓋内圧亢進による二次的な脳の損傷を予防するため 手術で血腫を取り除く手術です 血腫が大きく 意識障害があり 脳ヘルニアの兆候がある場合 は手術の適応になります *開頭血腫除去 *CT下定位的血腫吸引 *脳室ドレナージ などが行われます 脳ヘルニアが早期なら 血腫除去により脳幹部への圧迫が減り 意識の改善が望まれます 術前に脳ヘルニアを起こし昏睡状態だと 死亡率は50%と高くなります <予後> 出血により 脳実質の損傷が瞬時に完成されるので 予後が悪いことが多く 急性期を乗り切っても 重篤な後遺症が残りやすいです
高橋医院