くも膜下出血は 
脳卒中全体では比較的頻度が少ない疾患です



<病態>

脳と 脳を覆う薄いくも膜 の間の
くも膜下腔という空間に



出血が起こった状態です



くも膜下腔には 
脳を栄養する太い動脈があり
そこに出血が起こると
一気にくも膜下腔に血液が充満します

その圧力が外側から内部の脳にかかるので
急激に頭蓋内圧亢進が起こり
呼吸停止 循環停止が起こり 死につながる
とても危険な病態です


<疫学>

患者数は 
脳卒中全体の約3%と少ないですが
死亡数は約10%と多目です

経時的には いずれも横ばい傾向にあります

人口10万人あたり 20人前後の発症率です

最も多いのは 50~60歳代で
20~30歳代の若い人にも起こります



男女比は 1:2で女性に多く
40~50代では男性に多く
60歳以上になると女性に多い傾向があります


<予後が悪い>

脳卒中のなかで 
もっとも死亡率が高い疾患です



1/3は死亡し
1/3は重い後遺症が残るとされ

支障なく社会復帰できるのは 
1/3にすぎません



特に 動脈瘤の大きさが7mm以上だと 
リスクが高いとされます


<原因>

80%が
頭蓋内主幹動脈の分岐部に出現した
脳動脈瘤の破綻によります




若年性では 
脳動静脈奇形が原因であることが多いです

動脈壁の一部が
先天的に弱い方がおられると推測されていて

家族歴のある人は要注意で
そうした方の4%は
動脈瘤を有しているという報告があり
それが徐々に大きくなり
中年以降に破裂する可能性が考えられています

人口の約5%が脳動脈瘤を持っているとされますが
破裂する人は0.2~0.3%程度にすぎず
破裂の確率は 年に1%程度とされています


<危険因子>

@高血圧

危険率が2.8倍上がります

@喫煙

危険率が1.9倍上がります

@過度の飲酒

1週間に150ml以上の飲酒があると
危険率が4.7倍上がります


喫煙 飲酒が危険因子となるのは 
血圧を上昇させるためです

また これらの危険因子が重なると 
より危険です




なお 
脳梗塞や脳出血危険因子である生活習慣病は
くも膜下出血の発症には全く関係なく

むしろ 
やせた高血圧のひと 
やせた喫煙者 
に多いとされています
高橋医院