くも膜下出血の
症状と治療について説明します

<前触れ症状>

動脈瘤の増大による周囲の脳組織の圧迫により
前触れ症状が現れることがあります

頭痛
モノが二重に見える 視野の一部が欠ける
といった症状で

一時的ですむこともあり
継続して起こることもあります




<発症>

24時間 活動中でも睡眠中でも 
いつでも起こります


<症状>

@頭痛

急激に始まる
経験したことがないような激しい痛みが特徴で

ハンマーでなぐられたようだと
表現されることが多いです

数日にわたって持続し
嘔吐 意識障害を伴うことがあります




@意識障害

頭痛が始まってから10分前後で
意識を失うことが多いです

数分から数十分で回復しますが
意識が戻らない場合は 
かなりの重症といえます




@項部硬直

発症から数時間たつと 
頸の付け根から肩にかけて 
固く張ってきます



このように 
今まで経験したことがないような頭痛が
急に起こって持続するようなら
くも膜下出血の可能性がありますから
すぐに医療機関を受診するようにしてください


<診断>

@CT

脳の表面に白く出血を認めます




@脳血管造影

出血の原因(脳動脈瘤か奇形か)
脳動脈瘤の位置 大きさ 数
などがわかります


<治療>

@再破裂を防ぐ

再発は 
24時間以内に5%で起こるとされます




@血管攣縮を防ぐ

くも膜下腔の血腫から
血管収縮物質が放出されて
脳血管が収縮 攣縮すると
脳梗塞に進展してしまいます

約30%で起こり
そのうちの半数が
脳梗塞を起こすとされています



発作後 3~5日後に始まり 
2~3週間続きます


@血圧を管理する


<手術>

再破裂の予防のため
昏睡状態 中等度以上のマヒ がなければ
可能な限り術を行います

原則として72時間以内に行い
その時間帯に手術できれば
それ以降に行うより予後が良いです

70歳以下 
動脈瘤の大きさが5mm以上だと
手術の適応になります

手術方法には 以下のようなものがあります

@クリッピング

最も多く行われている術式で

開頭して
脳動脈瘤の根元を
チタンなどの金属クリップではさみ
血流が動脈瘤内に流れ込まないようにします




@コイル塞栓術

開頭しない 血管内治療で
脳動脈瘤のなかに 
プラチナ製の細いコイルを詰めて留置する
新しい手術手技です

体への負担が少なく
血管攣縮のリスクが少ないので 
72時間以降でもできます



脳動脈瘤の大きさ 部位
合併症の有無 年齢などを考慮して
どちらの術式にするか決めます


<再出血>

再出血は24時間以内に多く
特に最初の6時間以内に
高頻度に起こります

また 未治療だと
発症後2~3週以内に再出血する確率は20%です

再出血すると 
死亡率はさらに高くなります

ですから 繰り返しになりますが
経験したことがないような激しい頭痛が起こったら
早目に医療機関を受診してください




<治療後の再発予防>

クリッピング手術後に
別の部位から出血するリスクは
10年間で2.2~3.2%で
正常人の10~20倍になります

コイル塞栓術では
コイルが瘤内で動いて 
再度 動脈瘤が大きくなることがあり
治療後3ヶ月以内に起こりやすいとされます

いずれによ
手術をしてもそうしたことが起こりえますから
禁煙と高血圧治療を徹底することが大切です
高橋医院