うつ病について
当院は内科が専門ですが 抑うつ症状を訴えられる患者さんも多いので うつ病について解説しようと思います 書き手は医学生のとき 精神科を志した時期もあったので メンタルの病気を勉強するのは懐かしいです <うつ病の患者さんは増えている> さて うつ病の患者さんの数ですが 2014年には100万人を超えました 1999年には44万でしたが 2002年に71万と急増し さらに増加傾向にあり 躁うつ病 気分変調症といった 他のメンタル疾患よりもはるかに多いのです 有病率は6~7%で 10~15人に1人は罹患するという 極めてありふれた病気といえる状況になっています しかし 医療機関を受診しているのは40%ほどで 本当は受診した方が良いのに受診していない人は 相当数いると推定されています 具合が悪くなっても もうちょっと様子を見ようとか 精神科や心療内科には行きたくないからと 受診が遅れる場合が多いようです うつ病患者さんが増加している理由としては うつ病の啓発が進んだことが大きいとされています 診断基準が 広く認知され始めたことも 理由のひとつと考えられています またさまざまなストレスが多い現代社会の環境も 抑うつ状態になる人が増えている 大きな原因といえるでしょう <働き盛りに多いが 若者 高齢者もうつ病になる> 働き盛りの40歳代に多いとされていますが 思春期や高齢者にも多いようです 思春期は 心身がアンバランスな状態ですから 心が乱れる機会も多いと思われます 高齢者では 憂うつな気分を訴えるよりも 体の症状を訴えることが多くなりがちのようです 物忘れが激しくなるなど 脳の機能自体が衰えてきているので 心理的ストレス以外の要因も うつ病になる原因となるようです また 認知症との鑑別が大事になります 認知症をうつ病と間違えて診療していたりすると 認知症が進行してしまいますので このあたりは専門家の診療を仰ぐべきだと考えています <うつ病は女性に多い> 女性に多いのも うつ病の特徴のひとつです 女性の患者数は男性の約2倍で 4~10人に1人は罹患するとされています うつ病が女性に多い理由はいくつかありますが 女性ホルモンの変動の影響が大きいと 考えられています エストロゲンは うつ病の病態に関与する脳内神経伝達物質の セロトニン ノルアドレナリンを増やし ドパミンを減らすので エストロゲンの変動があると ストレスに対する抵抗力が低下し うつ病を発症しやすくなります 進学 就職 結婚といった ライフイベントなどにともなう 心理ストレスの影響もあります 女性は 仕事だけでなく家事・育児・介護などの負担が多く 社会的ストレスを受ける機会が多いことも影響しています また 女性は家庭でも職場でも 我慢しなければならないことが多いので 男性よりストレスをためやすく 解消しにくい 一方で 女性の方が男性より受診に前向きですから (健診の再検査なども男性より女性の方が真面目に来られます) 放っておかれず適切に診断される方が多いのも 女性のうつ病患者さんが多い理由のひとつと 考えられています
高橋医院