うつ病の症状は 
病気の進行にともない変化していきます

<初期のきざし>

何もやる気が起きない
物事に集中できない
物事が決められない
疲れがとれない
性欲がなくなった
不安が続く イライラする

通常なら楽しかったような趣味や好きなことでも
楽しみや喜びを感じなくなる

きっかけとなった出来事や要因が解決したり
自分にとって良いことが起こっても
気分が晴れない状態が続いてしまう

こうした症状が 2週間以上続く
本格的なうつ病と考えられます

この早い時点で 自らの変化 異常を自覚して
医療機関を受診できれば
発症を未然に防げる可能性があります


うつ病の病期の進行にともなう症状の変化の説明図


<初期・中期>

将来のことが不安になる
昔のことをクヨクヨ悩む
物忘れが多くなった
寝られなかったり 朝早く目覚めてしまう
食欲が落ちて体重が減る
便秘
頭が重く感じる
動悸がする

といった症状が顕在化してきます


<進行期>

動きがゆっくりになる
常識を外れたことを考える
消えてしまいたいと思う
ひとりぽっちだと感じる
人から離れていたい
むなしい感じがする
生きていく希望がない

といった 確固とした症状がはっきりしてきます


<注意すべき自殺>

@自殺念慮 自殺企図

うつ病になると 
自殺危険率は5倍も高くなります

うつ病の自殺危険率を示すグラフ

一般に 
自殺者の動機で一番多いのは健康問題で
約半数 1万人を超えていますが
そのうちの40~50%はうつ病が原因で
いちばん多い

うつ病が自殺の原因で一番多いことを示すグラフ

症状が一番ひどいときは 
自殺を考えたり試みたりすることもできないほど
疲弊しきっているので
逆に自殺は少ないのですが 

少し症状が改善して回復してくると 
逆に自殺のリスクが高まってくるので 
注意しないといけません

病気の初期 回復期に多いとされていて
軽症者でも自殺を考えることがあるので 要注意です

病気の初期 回復期に多いことを示す図
1日のなかでは 
夜間 早朝に多いようです


@自殺に至りやすい因子

不安感 焦りが強い
絶望感がある
自責の念が強い
孤独感がある
不眠が続く
身体症状がある
アルコール依存がある

患者さんにこうした状況がみられる場合は
充分に注意する必要があります


@危険な兆候

投げやりな言動が目立つ
攻撃的 衝動的 けんかや口論が多い
アルコール 薬物の乱用
無謀なギャンブル 投資
大切にしていたものを人に譲る
身の回りの整理をする
不自然にはしゃぐ

これらは
患者さんが自殺を考えているサインと考えられますから
周囲の人は
患者さんの状態 行動の変化に注意して
このような変化が見られたら
自殺できないような対策を講じるべきです

自殺を考えているサインについてまとめた図
高橋医院