今日は うつ病で見られる
さまざまな身体症状について説明します

うつ病で見られる身体症状をまとめた図


<睡眠障害>

@不眠

うつ病で睡眠障害のある人は82~100%で

うつ病の身体症状の出現頻度を示す図

一方 不眠のある人はない人に比べ
3年以内にうつ病になるリスクが約4倍高いと
されています

不眠の人はうつ病になりやすいことを示すグラフ

これだけ 両者の関連は深い

うつ病と不眠の相互関係の深さを示す図

うつ病では

*疲れているのに眠れない

早朝覚醒の頻度が特に高い

普段よりも2時間以上早く目が覚めてしまい
 再び眠ることができない

*浅い眠りが多くなる

といったタイプの不眠が見られます


典型的なうつ病の場合は
朝から午前中にかけて症状が重くなりますが
その原因のひとつが不眠です

うつ病では
体内リズムが崩れた状態になっているので
実際に 朝に不調という人が多いのです

うつ病の睡眠障害とセロトニンの関連を示す図

あとで詳しく説明しますが
うつ病では
セロトニン ノルアドレナリンなどの
脳内神経伝達物質の働きが不充分な状態なので
睡眠に必要なメラトニンの合成が足りず
睡眠障害の原因となると推察されています

@過眠

少なくとも1か月間
日中に過剰な眠気または実際に眠り込むことが
毎日のように繰り返してみられる場合は
過眠と診断されます

過眠は うつ病よりも
躁とうつの状態を繰り返す双極性障害(躁うつ病)
起こりやすいとされています


<体の痛み>

頭が痛い 頭重感
頭以外にも 身体のさまざまな部位が痛む

といった症状が見られます

からだの痛みを感じている人の割合は
うつ病患者では約60%

うつ病でない健康な人では約40%
とされていて 
うつ病の人の方が多い

うつ病で見られる体の痛みをまとめた図

からだの痛みが実際にあらわれる部位や程度は
ひとによりさまざまですが

頭痛に関しては
頭の内部の痛みが多く 
痛みの程度も強いようです

痛み自体がつらいだけでなく
毎日の生活にも支障をきたしかねなません

うつ病で働きが低下しているとされる
セロトニン ノルアドレナリンには
痛みを抑える働きがあると考えられており

そのために
からだの痛みが抑えにくくなっているのではないかと
推測されています


<食欲の変化 体重の変化>

うつ病患者さんの53~94%に
食欲の減退が認められます

うつ病の食欲減退について説明する図

食べても味気がなく
おいしいと感じられない
食べることそのものが苦しい
と感じてしまうこともある


逆に 食欲が増加してしまうこともあり
この場合 甘いお菓子や炭水化物など
特定の食べ物だけを
たくさん食べてしまうことがあります

食べても満腹感が得られないので
食べ過ぎてしまうことがあり
太ってしまうこともあります

うつ病の疲労感について説明する図


<だるい 疲れが残る ひどく疲れる>

うつ病患者さんの54~92%に
疲労感・倦怠感があらわれます

疲れるようなことはしていないのに
とても疲れたり

疲れが続いて
最低限の仕事さえ努力をしないとできなくなります

朝 顔を洗ったり
寝巻きから着替えたりするのがしんどいなど
ちょっと動いただけでも疲れが出てしまいがちで
人によっては 座っているだけでも疲れてしまい
すぐに横になりたくなります


<自律神経症状>

めまい

動悸 発汗
息苦しさ 窒息感 胸の圧迫感

口渇
腹痛 腹部膨満 胃の不快感
便秘 下痢

といった 呼吸 心臓 胃腸などに関する
自律神経の乱れが関与すると思われる不調な症状が
長く続くことがあります

うつ病の自律神経障害について説明する図

これらの症状以外に
性欲の低下 月経不順 勃起障害なども
うつ病を疑わせる重要な所見となります
高橋医院