書き手は高校生の頃
哲学者って格好良いなと憧れていました

哲学は学問の学問である
なんて言葉に酔ったりしていたのですよ

哲学と書かれたポスター

結局 日和って 医学部に進みましたが
大学生の時も当時の哲学界のスターだった
廣松渉さん 市川浩さん 沢田允茂さんなどの勉強会に
こっそり参加したりしていました

廣松渉さん市川浩さん沢田允茂さん

直接お会いすることはありませんでしたが
中村雄二郎さんもマイヒーローでした

中村雄二郎さん

皆さん既に鬼籍に入られましたが 懐かしいです、、、


で 最近は
哲学関係の本を読んだりすることはありませんでしたが
本屋さんで ふと見つけたこの本

いま 世界の哲学者が考えていること

いま 世界の哲学者が考えていること の表紙

これが面白かったので ご紹介したいと思います

著者の岡本裕一郎さんは
現代社会では かつてないほど 哲学が求められている
と主張されます

どうしてなの?

最近は
経済的に役に立たない文学部などいらない
哲学なんて社会的に無用だ
と考えられているけれど

哲学なんて社会的に無用だと主張する論文

歴史的に見て
時代が大きく転換するとき 哲学が活発に展開されている

グローバルな経済活動の展開
宗教改革
近代国家の組織
といった大きな社会変化に対応して
近代哲学の柱となった
大陸合理論 イギリス経験論などが勃興した

そして現代は
IT革命 生命科学革命などにより
既成の社会関係 人間の在り方が
根本的に変わろうとしている

数百年続いてきた資本主義 民主主義 宗教からの
離脱が起ころうとしている

数世紀単位で繰り返し起こってきた時代の転換期
まさに 近代からの転換期である

こうした状況をトータルに捉えるのは哲学しかできない

という論旨です

時代の転換期に立つ人

なぜ 転換の時代を捉えるのに哲学が必要とされるのか?

哲学は 広い視野と長いスパンでアプローチするからです

現実にまみれた世界から 一歩身を引いたスタンスで
*そこにはそもそも どのような意味があるのか?
*これは 最終的には何をもたらすのか?
という形で 状況を問い直す

哲学は問うているのは
自分が生きている時代は 我々は何者かを捉えるために
現在に至る歴史を問い直し
どのような未来が来るかを展望することで

だからこそ
時代がドラステチックに変化するときは
こうした哲学の姿勢が欠かせない

と言われます

生きている意味を問う人
うーん そういわれると
そんな感じがしてきますよね?(笑)

ちなみに 書き手が大学生の頃に
“哲学ごっこ”をしていたときは
現象学 構造主義が流行していましたが
今の哲学界のトレンドはどうなっているのでしょう?

岡本さんは

20世紀は 哲学そのものが グローバル化を起こし
ドイツやフランスの大陸系の哲学者たちが
英米系の分析哲学を導入し
世界のグローバル化の過程で英語が共通語になったように
分析哲学が共通哲学になった
と指摘されます

フランスはポスト構造主義
ドイツは現象学・解釈学
といった棲み分けは過去のものになっていた

棲み分けを示した図

しかし21世紀になって
その流れは再び逆流し始め
各国が再び独自の哲学形成に着手し始めているそうです

なるほどね

でも 岡本さんは
“哲学のための哲学”には興味がないと言われます

語る岡本さん

哲学が 今 世界が抱えている問題の解決に
どのように貢献できるのか?

*IT革命は 私たちに何をもたらすのか?
*バイオテクノロジーは 私たちをどこに導くか?
*資本主義制度に 私たちはどう向き合えばいいか?
*宗教は 私たちの心や行動に どう影響を及ぼすか?
*私たちを取り巻く環境は どうなっているか?

こうした諸問題について 世界の現役の哲学者たちが
どのようにアプローチしているかをレポートすることが
この本のテーマとなります

なんとなく 面白そうな気配を感じますか?(笑)
高橋医院