ウイルスは動物からヒトへ
ウイルスは
どのようにしてヒトに感染するように
なったのでしょう?
<ヒトに病気を起こすウイルスの発見の歴史> ヒトの病原性ウイルスは 下記のような順番で 次々と発見されてきました 1900年 黄熱病 1903年 豚コレラ 狂犬病 1909年 ポリオ 1933年 インフルエンザ 1976年 エボラ出血熱 1980年 成人T細胞白血病 HTLV 1981年 AIDS HIV 1989年 C型肝炎ウイルス HCV 1994年 ノロウイルス 1997年 鳥インフルエンザ 2003年 SARS 2012年 MARS そして2019年に 新たなパンデミックウイルスとして COVID-19が同定されました
<ヒトに感染するウイルス> ヒトへのウイルス感染のそもそもの始まりは 家畜に感染していたウイルスが ヒトに感染したことと推察されています 太古の昔 ヒトが家畜と生活するようになり ヒトだけに感染するウイルスがでてきたと 考えられています たとえば はしかの原因の麻疹ウイルスは 11~12世紀に 牛の牛疫ウイルスが ヒトだけに感染するようになったもので 天然痘ウイルスは 馬か牛のウイルスが ヒトに感染して進化したものです そして 農耕が始まり ヒトが大規模な集団で生活するようになると ウイルスがヒトの間に広まる頻度が増えて 存続するようになりました <ホストジャンプ> ホストジャンプは ある宿主に感染して共存していたウイルスが変異して 新しい宿主への 感染性 病原性を獲得する現象です ヒトに病原性をもたらすウイルスの多くが 他の動物を宿主としていたウイルスの ホストジャンプによると考えられています こうしたウイルスの多くは 元の宿主では病原性を示さず共存しています <動物ウイルスがヒトウイルスに進化する過程> @第1段階 ウイルスが 動物にだけ感染している状況です @第2段階 ウイルスは 動物からヒトに感染しますが ヒトからヒトへの感染はない状況です 狂犬病ウイルスが この段階にあてはまります @第3段階 ウイルスが 動物からヒトに感染し ヒトの間で 二次感染 三次感染が起こる状況です エボラウイルスが この段階にあてはまります @第4段階 動物からヒトに感染したウイルスが ヒトの間で大規模に感染が繰り返される状況です インフルエンザウイルス S ARSウイルス MARSウイルスなどが この段階にあてはまります @第5段階 動物を介さず ヒトからヒトに広がるウイルスが生まれる状況です HIVウイルス 新型インフルエンザウイルスなどが この段階のウイルスで これらは20世紀後半に生まれた新しいウイルスです
高橋医院